2023-02-19 政治・国際

最大の制裁は人材流出 打倒プーチン狙うホドルコフスキー氏

© Photo Credit: GettyImages Mikhail Borisovich Khodorkovskii

注目ポイント

ミハイル・ホドルコフスキー氏は他の著名なロシア人と共にウラジーミル・プーチン大統領と戦っている。好戦主義者プーチンに戦争をやめさせる方法として有能な人材の国外流出を画策し、スイスをモデルに未来のロシアを構想する。

プーチンにとってミハイル・ホドルコフスキー(59)はロシア人最強の敵だ。かつてはロシア一の富豪で、10年間労働収容所に入れられた後スイスに滞在していたこともある。政治亡命中の同氏はプーチン大統領が去ったあとに新国家を建設しようともくろんでいる。

「オープン・ロシア」だけでなく反戦委員会(RUSSIAN ANTI-WAR COMMITTEE)の設立者でもある。この委員会にはチェスの世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフ氏(59)、元ロシア首相ミハイル・カシヤノフ氏(65)、歴史家ウラジミール・カラムルザ氏(41)などの著名人が所属し、クレムリンのエリートと戦っている。チェスの天才カスパロフ氏はホドルコフスキー氏をポスト・プーチン時代の中心人物になるべき人と呼んだ。

スイスの大衆紙ブリックがロンドンにあるホドルコフスキー氏の自宅兼仕事場で行ったインタビュー他のサイトへ(2月10日付掲載)を、そのまま内容を変えずにswissinfo.chに転載する。インタビューで同氏は、この戦争をどのように終わらせられるのか、プーチンなき新生ロシアの姿はどうあるべきか、そして再び急いでスイスを離れたのはなぜだったのかを語った。

 

ブリック:ハンガリーのオルバン・ビクトル首相は先週、この戦争はウクライナが降伏すればすぐに終わらせられると述べました。あなたもそう思いますか?

ミハイル・ホドルコフスキー:あきらめるのか、それとも人命を犠牲にして今後も自国の領土を守り続けるのか。それはウクライナが決めることです。しかし経験豊富な政治家オルバンは、プーチンがいるかぎり戦争終結はないと分かっているはずです。

ブリック:ウクライナはどうすればこの戦争に勝てるでしょうか?

ホドルコフスキー:この戦争がどうなるか、3つの可能性があります。1つは、プーチンが心臓発作などで死亡し、ロシア政権が崩壊するというもの。次は、大きな犠牲を払いながら戦争が何年も続き、どんな結果になるか見通せないという事態。

そして3つ目は、戦争を早く終わらせるために必要な武器を欧米がウクライナに供与するというもの。ただしこれは、プーチンに自分が負けると確実に思わせる規模の支援でなければなりません。

ブリック:欧米は制裁でプーチンを降参させようとしています。実際のところロシアは大きなダメージを受けているのでしょうか?

ホドルコフスキー:制裁は、長期的に見れば確実に効果があるでしょう。けれども紛争解決の要諦は(経済よりも)人、すなわち専門知識と技術のある人材なのです。西側諸国は例えばロシア人エンジニアを採用し、すんなり定住許可を出すよう計らうべきでした。

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