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2023-02-16 政治・国際

世界が激動した2022年は明るい年とは言い難いが…それでも心強くてポジティブなニュースもあった

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注目ポイント

一見、悪いことだらけの2022年だが、よく見てみると脱化石燃料の加速、核融合技術の進歩、エチオピア内戦の永久停戦など激動したわりには明るいニュースもあった。

2022年は、ロシアとウクライナ戦争、台湾海峡の一時的な緊張、安倍晋三元首相の暗殺、イギリス女王エリザベス2世の死去、韓国の痛ましいソウル梨泰院雑踏事故、全世界が直面したエネルギー危機とインフレ危機など、決して明るい年とは言い難い。しかし、新しい年を迎えて私たちには少しの希望が必要だ。そこで、ネガティブな気持ちは一旦脇に置いて、2022年に世界で起きたポジティブなニュースを見てみよう。実は、エネルギーや環境保護の分野では良い進展があり、とある戦争にも終止符が打たれていた。


戦争でグリーンエネルギーへの転換が加速、核融合技術の画期的な進歩

ロシアとウクライナ戦争は、世界に多くの悪影響を及ぼしたが、予想外のプラス効果の1つとして、グリーンエネルギーへの移行が、世界的に加速されたことが挙げられるかもしれない。

国際エネルギー機関(IEA)は2022年10月に発表した報告書で、世界の化石燃料の需要は15年以内にピークを迎え、その後、徐々に減少すると史上初めて予測した。報告書では、各国が化石燃料からの脱却を加速しなくても、既存の政策を実行する限り、石炭は数年後に、天然ガスは2030年以前に、石油は2035年頃にそれぞれ需要がピークを迎えると示した。

これは世界にとって歴史的な瞬間になるだろう。何といっても、産業革命以来、経済発展と化石燃料の消費量は正比例しており、石油や石炭を使えば使うほど、経済成長は速くなるが、汚染問題や温室効果も深刻さを増していく。これでようやく、GDPと化石燃料がお互いを離れることができる。もちろん、二酸化炭素排出量の削減と、クリーンエネルギーへの転換計画が持続することが大前提である。

化石燃料の経済が時代遅れになる前に、いち早くクリーンエネルギーに投資し、化学の革新を進めるチャンスは、ほんのわずかであることを私たちは知っている。

ネットゼロへの移行は絶対に必要だが、特定の燃料に依存することはできない。私たちは既に化石燃料から学んでおり、今日の決定が、明日の投資計画に影響を与えることも知っている。

化石燃料からの脱却のためには、再生可能エネルギーの開発も非常に重要だが、2022年にはある朗報がもたらされたという。それは、核融合技術において画期的な進歩が達成されたことである。米国エネルギー省(DOE)は12月、研究チームが核融合反応実験において、史上初めて1.5倍のエネルギー生成に達成したと発表した。すなわち、反応から得られたエネルギーが、反応のために投入されたエネルギー量を上回ったのだ。

欧州委員会委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏

先週、彼らは史上初めて、核融合燃料を十分な温度と密度で、丸く、長く保つことに成功したため、燃料が点火して、レーザーで投入したエネルギーよりも多くのエネルギー(およそ2MJの投入に対し、3MJの出力)を生産する実験を考案した。

核融合は、既存の原子力発電所で使われている核分裂技術に比べ、地球上に無限にある水素をという非常にありふれた原料を使っている。さらに、二酸化炭素を排出することがなく、低レベルの放射性廃棄物しか出ない。原発事故のリスクも低く、理論的にはクリーンかつ安価で、安全な発電方法であると言える

国家核安全保障局マーヴィン・アダムズ博士(Dr. Marvin Adams)。。

しかし、繰り返しになるが、この達成が重要であるとしても、人類がエネルギーや気候の危機から、永遠に解放されたわけではなく、実際に商業的に運用するためには、まだ多くの技術上のハードルを越えなければならない。専門家の多くは、あと数十年かかると見積もっている。つまり、核融合発電が実現したとしても、それだけでは目の前の気候危機を覆すことはできない。また、クリーンエネルギーの開発だけでなく、二酸化炭素の排出量の削減も急がなければならない。

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