注目ポイント
この1年ロシアのウクライナ侵攻に揺れた国際社会は、延長線上に台湾海峡を想像し、周辺の動静を注視の的としてきた。だが当の台湾では、これまで特に安全保障面で頼りにしてきたはずの米国に対する見方に微妙な変化が生じているという。「当てにしても、最後は見捨てられる」という疑念だ。「親米」の台湾ではこれまで主流ではなかった見方が、ここへきて急にネット上などで目につくようになった背景とは。
中国は台湾の世論を揺さぶるという目的で、「疑米論」を広げる情報操作を強めてくるであろう。最近指摘されているのは、直接的に米国を批判する宣伝だけではなく、台湾のSNSを通じて生活や趣味の話題の中にさりげなく対米不信の種をまく間接的な手法だ。一方、中国自身の動きによって、「疑米論」の効果が減退し、「疑中論」に転じる可能性も常にある。これは、国民党にはコントロールのしようがない。
「疑米論」の議論がどう展開するのか、決めるのは台湾の選挙民だが、米中の態度も影響し、非常に難しい選挙戦になりそうだ。


オススメ記事:
・台湾・統一地方選「民進党大敗の構造は10月末に固まっていた」