2023-02-15 政治・国際

スペインのミンク農場で鳥インフルが感染爆発 新たな変異ウイルスは人に影響を及ぼすのか

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注目ポイント

スペインの毛皮農場で飼育されているミンクの間で、鳥インフルエンザが拡大している。米紙ニューヨーク・タイムズは、鳥インフルエンザウイルスの新亜種が哺乳類の間で広がる可能性があり、より積極的な監視の必要性が浮き彫りになったと伝えた。

だが、今回のケースでは、ミンク農場に飼料を供給した養鶏場で鳥インフルエンザが発生したという報告はなく、専門家はウイルスの感染元は野鳥の可能性が高いとみている。野鳥などが、ケージの上部に塗り固められたミンクのエサにひかれて飛来し、そこでウイルス感染が起きたというのだ。また、ミンクは通常、ケージが密集した状態で高密度に飼育されているため、感染が農場全体に急速に広がったとみている。

米疾病予防管理センター(CDC)によると、世界で鳥類に広がっているH5N1変異株は、21年12月以降、ヒトへの感染例は10件未満であり、ヒトからヒトへの感染は報告されていない。

「H5ウイルスは人間にはあまり適応していない」と米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校獣医学部のジム・ロウ博士は分析。その上で、ウイルスがミンク農場で検出されたという事実は、特に驚くべきことではなく、必ずしも警戒する必要はないとしている。

ところが、ミンクに適応したウイルスは人間にとって、より大きな潜在的リスクをもたらす危険性があるという。オランダ・エラスムス大学医療センターのクイケン氏は、「そのようなウイルスは、ヒトからヒトの感染により、さらに感染力の強いものになる」と警戒した。

感染爆発が起きたスペインのミンク農場の従業員11人は全員、ウイルス検査で陰性だった。その事実にモネ医師は「安堵した」とした上で、「明らかに気になるのは、このウイルスがいたるところに広がっていること」と指摘。つまり、ウイルスがミンクや他の哺乳類に感染し、拡散する機会が増大しているというのだ。

専門家は、ミンク農場で広がったウイルスがイヌやネコに感染し、それらの動物が潜在的に中間宿主として、変異したミンクからのウイルスが今後、人間や野生動物に伝染することが懸念されると指摘した。



 

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