2023-02-13 政治・国際

正体不明の飛行物体が米5大湖上空を侵犯 米軍戦闘機が撃墜、中国でも謎の物体?

© Credit: GettyImages /A ship tries to retrieve the Chinese spy balloon after it was shot down

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「少なくとも5大陸・地域」で過去数年間にわたり活動しているところを目撃されていることが判明した中国の偵察気球。今度は12日、5大湖の一つ、ヒューロン湖上空に侵入した正体不明の飛行物体を米軍が撃墜した。北米上空で気球などの物体が撃墜されたのは、今月に入って4件目となった。

ワシントン・ポスト紙は当局者の話として、中国が日本や台湾、インドなどで気球を使った偵察を続けてきたと報道。国務省高官は、気球が飛来した国々と連絡を取り合っていると強調した。

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、人民解放軍の関係企業に加え、中国政府に対する措置も検討すると表明。10日には中国企業6社を禁輸リストに追加すると発表した。さらに、米国や同盟国の安全保障を脅かす中国の大規模な偵察活動を暴露する考えも示した。

米CNNによると、米政府当局者が議員団への非公開の説明で、米本土上空に中国が偵察気球を送り込む決定について、習近平国家主席は関知していなかったとの見方を示した。中国共産党や中国人民解放軍の最高幹部も同様に知らなかったとみて、背景の分析を進めている。

国務省高官は、これまでの気球による偵察の大半は人民解放軍が直接指示していたと指摘。米政府は、今回の事態に至った経緯について中国側も検証中とみている。その中国の毛寧外務省副報道局長は10日、米上空を飛行した気球と中国軍の関係を米政府高官が指摘したことについて、「気球は民間用だ」と改めて説明し、従来の主張を崩さなかった。

そんな中、アラスカ州上空を飛行していた物体を、米軍戦闘機が10日午後、撃ち落としたことについて米政府は、民間機に危険が及ぶ可能性があるとし、バイデン大統領が命令したことを明らかにした。米軍は4日にも中国の偵察気球を撃墜したばかりだった。物体が気球かどうかは明らかにせず、どこから飛来したかや国籍は不明だとしている。

国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、アラスカ州上空で飛行物体を確認したのは9日夜で、大きさは「小型自動車」ほどと説明していた。

4日に米南部サウスカロライナ州沖約11キロの領海上で米軍戦闘機にミサイルで撃ち落とした最初の気球については、海軍、沿岸警備隊、FBIの潜水チームが回収作業に当たっている。これまで、海上に浮いていた気球の風船部分やワイヤー、ごく少数の電子部品を回収したものの、搭載していた機材の主要部分はまだ海中に沈んだままだという。FBIの当局者は、今後の天候次第で作業がさらに長期化する可能性があるとしている。

 

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