2023-02-13 政治・国際

正体不明の飛行物体が米5大湖上空を侵犯 米軍戦闘機が撃墜、中国でも謎の物体?

© Credit: GettyImages /A ship tries to retrieve the Chinese spy balloon after it was shot down

注目ポイント

「少なくとも5大陸・地域」で過去数年間にわたり活動しているところを目撃されていることが判明した中国の偵察気球。今度は12日、5大湖の一つ、ヒューロン湖上空に侵入した正体不明の飛行物体を米軍が撃墜した。北米上空で気球などの物体が撃墜されたのは、今月に入って4件目となった。

米国防総省は12日、五大湖上空で撃墜した飛行物体について、米軍のF‐16戦闘機が空対空ミサイルで撃ち落としたと発表。ロイター通信は、撃墜は撃墜したのは、バイデン大統領の命令によるものだったと報じた。詳しい状況はまだ分かっていない。11日にはカナダ北部領空を正体不明の飛行物体が侵犯し、米国とカナダの防衛組織、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の戦闘機が撃墜したばかりだった。

米FOXニュースは12日、米政府高官の話として、11日にカナダ領空で撃墜された正体不明の飛行物体は「小さい金属製のような気球に物体が結び付けられていた」と説明。同局はこの物体が円筒形をしていたとの見方を示した。カナダ軍は残骸を回収し、分析を進める方針だ。カナダのアナンド国防相は記者会見し、「小さな円筒のような物体」が、高度約1万2000メートル上空を飛行、民間機への危険があったため撃墜したと説明していた。

米国防総省のライダー報道官によると、NORADは10日夕、飛行物体を発見、アラスカ州エルメンドーフ空軍基地から戦闘機が発進し、監視していた。飛行体は翌日の11日にはカナダ北部の準州ユーコンの上空に侵入。NORADからカナダ軍機と米軍機が緊急発進し、米国境から約160キロ離れた同準州中部の上空で米F‐22戦闘機がミサイルを発射、撃ち落とした。

この正体不明の飛行物体が中国の偵察気球なのかは、カナダ、米国の当局は特定していない。その中国では12日、山東省青島市の海洋発展局が、山東半島沖で正体不明の飛行物体を発見して撃墜する準備をしているとして、周囲の漁船に危険回避のため注意を促す通知を出した。漁船付近に物体が落下した場合、証拠として写真撮影するよう協力も要請した。中国メディアが報じた。

青島には、中国人民解放軍北部戦区の海軍司令部が置かれている。市当局側は中国メディアの取材に事実関係を認めた上で「飛行物体の具体的な状況については情報に接していない」と述べた。正体不明の飛行物体が確認されたのは、山東半島南約60キロの海域だという。

一方で米国務省高官は先週、米上空を飛行した中国の偵察気球の写真を分析した結果、複数のアンテナなど通信傍受機器が搭載されていたと明かした。その上で、中国はこれまでに5大陸・地域の40か国超の上空に偵察気球を飛ばしていたと指摘。中国人民解放軍と直接関係がある企業が製造していたとの分析も示した。偵察気球に関する情報の一部を機密解除して公表した。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい