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訪中している野党・国民党の夏立言(かりつげん)副主席(副党首)は9日、中国で対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)の宋濤主任と北京の釣魚台国賓館で会談した。

(台北中央社)訪中している野党・国民党の夏立言(かりつげん)副主席(副党首)は9日、中国で対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)の宋濤主任と北京の釣魚台国賓館で会談した。台湾で対中政策を担う大陸委員会は同日、宋氏が会談の中で「台湾問題の解決を貫徹する」全体的方針に言及したことに触れ、「中国の対台湾政策の狙いが台湾の主権の尊厳を矮小化、損なわせることにあるのを故意に浮き彫りにしていることに疑いの余地はない」と批判した。
中国国営の新華社通信によれば、宋氏は会談で、昨年の中国共産党第20回党大会の精神と新時代の党の台湾問題を解決するための全体的方針を深く掘り下げ、貫徹し、習近平総書記の台湾工作に関する重要な指示の精神を全面的に徹底すると表明。その上で、「一つの中国」を巡る「92年コンセンサス」を堅持し、「台湾独立」に反対するといった共通の政治的基礎の上で中国国民党と交流を強化し、台湾海峡の平和や民族復興などに向けて共に努力していく方針を示した。
大陸委は「両岸は互いに隷属しない」というのが台湾海峡の現状の事実で、交流や対話は対等な尊厳に基づくべきであり、いかなる誤った政治的前提の枠組みをも設けてはならないと改めて表明。北京当局は「一つの中国を原則として統一を目指し、一国二制度を受け入れる」と定義する92年コンセンサスを両岸(台湾と中国)の交流の前提とし、中華民国の主権を損なわせ、台湾を矮小化しようとしていると指摘し、国共両党が92年コンセンサスで相互に呼応していることを、台湾の人々は受け入れられないと強調した。
国民党は報道資料で、夏氏は会談で(1)これまでに両岸間で交わした民生に関する取り決めの実施と維持(2)両岸交流で想定される不便さやコストの低下(3)緊張した情勢をできる限り緩和させ、平和と安定のために最大限努力―の3つの要求と関心事を中国側に伝えたと説明。「現時点で比較的重要なのは、両岸の政治的食い違いが経済や民生の分野に波及するのを可能な限り避けることだ」と夏氏が表明したと明らかにした。
(李雅雯、劉冠廷/編集:名切千絵)