注目ポイント
今年の台湾ランタンフェスティバルは日本からのパフォーマーや出品が多く、観光局が日台交流に力を入れていることがわかりますが、肝心の足である定期航空便がまだ復活していない地方都市もあります。春からの観光客受け入れに向けて航空会社、自治体のトップ、関連団体など双方の話し合いや交渉が始まり、観光交流も貿易もコロナ禍以前のレベルに戻そうと奮闘しています。
直行便復活への道
コロナ禍の約3年間、入国制限や利用客の激減などにより日本の地方都市から台湾へ飛ぶ航空便が減便されたり運休されたりして日台相互の観光交流が低迷しました。昨年10月に水際対策が緩和されて以来、台湾から日本への観光客は戻りつつありますが、日本からの観光客は思ったほど伸びていません。台湾の航空会社が定期便復活に二の足を踏んでいる背景は、ハンドリングの壁もありますが、この往路復路のアンバランスです。台湾から日本へ観光客を乗せて飛んでも帰りの便に日本人観光客が少なくほとんど空の状態で戻ってくるとなると採算が取れないのです。富山、鹿児島など地方都市は台湾から直接乗り入れる定期便が減便されたままなので台湾からの観光客も自然と足が遠のいています。台湾からのインバウンドがトータルで戻っても、これらの空港は、直行便が乗り入れている東京、千歳、大阪、福岡経由になるのでそこからさらに地元に足を伸ばせてもらえるかどうか不透明だし、日本人側から見ると台湾直行便のある大都市の空港まで行くと遠回りになるし、時間も余分にかかるし、一日も早く昔のように定期便の復活を望む声がきこえます。
行政>航空会社>日本人観光客に温度差
日台ともにインバウンドを増やす第一歩としてまず足の確保、つまり定期航空便の復活が先決です。しかし観光客が戻らなければ定期便の復活も難しいです。そこで県市職員や行政トップ、商工団体が訪台し航空会社や観光局などを歴訪したり、パフォーマーが伝統舞踏を披露したり観光物産展を開いて県の観光地や特産品をアピールしたりしました。これに対して台湾側も日本に負けず劣らず努力をしています。しかし日本人観光客はまだ思ったほど戻ってきていません。
台湾と日本の「官」が頑張っている熱意と、日本の「民」の間にはまだ多少の温度差があるように見受けられます。

台湾は大切な輸出先
地方空港からの直行便が復活しないことによる弊害はインバウンド、アウトバウンド数の頭打ちだけにとどまりません。果物、農畜産品、清酒、焼酎などを台湾の市場にお届けするのに、九州なら福岡、東北なら成田か新千歳を経由しなければならず、日数もコストも余計にかかってしまいます。例えば内閣総理大臣賞を獲得した宮崎牛や生産量全国トップの青森りんごなどは直行定期便があればもっとたくさん、もっと安く台湾で手に入れることができるはずです。

台湾では春節あいさつの四字熟語に「大きく飛躍して突き進む」という意味の「突飛猛進」というのがあります。今年は兎年ですから同じ発音で「兎飛猛進」と洒落で言います。