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インド北東部アッサム州で先週、18歳未満の少女を対象にした違法な児童婚の一斉取り締まりが行われ、警察当局は男2044人を逮捕した。同州では女性のおよそ8人に1人が18歳未満での出産を強いられており、州政府は違法な児童婚廃絶に取り組んでいる。
アッサム州警察トップのギャネンドラ・プラタップ・シン本部長は、「これまでに合計約8000人の男が関与した4074件の児童婚のうち、2169人を逮捕した」と発表した。逮捕者の中には、未成年の結婚式を取り仕切ったとして52人のヒンズー教の司祭とイスラム教の聖職者が含まれていた。
アッサム州は人口3500万人で、違法な児童婚が多く存在するという。国家犯罪記録局によると、同州内で登録された児童婚は2021年に155件、20年は138件だけだった。
インドの法定結婚可能年齢は男性が21歳、女性が18歳。貧困、教育の欠如、社会規範と慣行が、特に農村地域で児童婚をもたらす理由と考えられている。AFP通信によると、多くの親は経済的な安定を確保するために子どもを結婚させ、その結果、少女が夫に尽くして家事をするために学校を中退し、幼すぎる出産で健康を害するといった悲惨な事態を招いている。
その一方、当局による先週の一斉検挙で、夫の突然の逮捕に、一人の少女が乳児を腕に抱いたまま、泣きながら抗議する姿がニュースに映し出された。「私たちは苦労してきましたが、どうにかやりくりしていました。一緒にいて幸せでした。夫が逮捕された今、誰が私たちの生計を立てるのですか?」とその少女は嘆いた。
アッサム州のヒマンタ・ビスワ・サルマ首相は、同州の女性のおよそ8人に1人が18歳未満での出産を強いられており、児童婚が州の乳児死亡率と妊産婦死亡率を高めている理由の1つだと強調した。同首相は児童婚を「悪習」と呼び、「州警察は、女性への許しがたい凶悪犯罪を廃絶する覚悟で臨む」と述べた。
また、インド最高裁は2017年、「未成年の妻との性行為はレイプに当たる」とする画期的な判決を下し、インド議会は、女性の結婚年齢を21歳に引き上げる法案を検討している。
インド紙インディアン・エクスプレスは、児童婚が少女たちを虐待や搾取の対象に陥れるというと明らかな事実が存在するとした上で、「児童婚はジェンダーによる暴力の形態であり、ジェンダーの不平等と差別の原因と結果であり、発展途上国全体で少女とその家族が直面している重大な課題だ」と位置付けた。
同紙は、サルマ首相が取り組む悪質な児童婚の厳格な取り締まりを高く評価し、「票集めを目的とした政治的行為ではないことは確か」だとして、同首相の取り組みへの支持を示した。
インドでの児童婚を禁止する法律は1929年から施行されているが、世界の児童婚のうち、全体の3分の1にあたる2億2300万人がインド人の少女だ。