注目ポイント
6日にトルコ南部を震源として起きたマグニチュード(M)7.8の大地震で、トルコと隣国シリアの当局などによると、死者は7日までに両国で計7300人以上となった。被災地では救助活動が続いているが、冬の厳しい気候に加え、シリア内戦の影響が続く地域も被災しており、困難も見込まれる。一方、WHO(世界保健機関)は、死者数が今後、最大で8倍に増える可能性があるとしている。
トルコ政府によると、これまでに国内で6000人以上が死亡し、3万人以上がけがをしていて、倒壊した建物は5000棟を超える。震源地から200キロ離れた建物が倒壊したとする報告もある。また、シリア保健省は7日時点で、北西部を中心にこれまでに812人が死亡したと発表。同国北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は、少なくとも1020人が死亡したとしている。
トルコのエルドアン大統領は7日、今回の地震で大きな被害を受けた10の県を対象に、救助や支援活動を迅速に行うため3か月間の非常事態を宣言した。
一方、国連人道問題調整事務所は7日、これまでに国外から12の救助隊、約1400人がトルコに到着し、8日までにさらに37のチームが到着する見通しだと明らかにした。
台湾政府は7日午前、90人の隊員と3匹の救助犬を含む救助隊を現地に送った。林右昌内政部長は、1999年の台湾中部を襲ったM7.3の「921大地震」では、トルコは救助隊を派遣した最初の国の一つで、「今後は台湾が惨禍のトルコを助ける番だ」と語った。日本の国際緊急援助隊・救助チームの先発隊は8日までに現地入りした。7日夜には第2陣、約60人もトルコに向けて出発した。
各国メディアによると、トルコに対して英国が捜索・救助要員を、ギリシャが輸送機や救助車両、救助犬を派遣。インドは医療チームなどで支援する。EU(欧州連合)はフランスなど7か国で構成する救助隊をトルコに派遣しており、オランダとルーマニアからの救助隊もすでに現地に向かっている。
地震学者によると、6日午前4時17分(日本時間同10時17分)ごろ、カフラマンマラス州パザルチュク地区を震源地とする最初の地震は、トルコでこれまでに記録された最大級のもので、揺れが収まるまでに2分くらいかかったという。震源の深さは7キロ。2回目の地震は同日午後1時24分(日本時間同7時24分)ごろ、同州エルビスタン地区を震源とする地震でM7.5を観測。震源の深さは10キロ。7日も余震が断続的に観測された。トルコ政府幹部は、市民約1350万人が地震の影響を受けていると語った。
現地では救助隊ががれきの中から次々と遺体を発見する中、WHOは犠牲者の数が最大で8倍に膨れ上がる可能性があるとしている。WHO欧州の上級緊急担当官キャサリン・スモールウッド氏は、「残念なことだが、地震に関しては常に同じことが起きている。つまり、最初に報告された死傷者の数が、翌週には大幅に増加するということ」だと語った。