2023-02-06 政治・国際

中国の偵察気球が米国本土上空を飛行 ブリンケン長官「主権侵害」、新たな火種

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注目ポイント

中国の偵察気球が米国本土上空に飛来した問題で、米国のバイデン大統領は4日(日本時間5日)、東海岸沖で米軍が撃墜したことを明らかにした。今月1日に米本土への飛来の報告を受けた後、人的被害の危険がなくなり次第、撃ち落とすよう国防総省に命じていたことが分かった。中国外務省は、「強烈な不満と抗議」を表明。「今回の件を利用して中国を攻撃、中傷することに断固反対する」と反発した。

さらに、ニューハウス米下院議員(共和)もツイッターで、「中国共産党が、挑発的な行動をとり、それに対して米国がどのように反応するかを意図的に試していることは明らか。彼らの攻撃的な行動を詳しく調査したいと思っている」と発信した。

問題の気球が最初に確認されたのは今月1日で、西部モンタナ州上空を飛行していた。同州周辺には米軍の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射施設が点在している。国防当局者によると、気球の飛行ルートの下には「機密に関わる場所」が数か所含まれているが、人工衛星で得られる以上の情報は収集できないとみられている。

モンタナ州に住むチェース・ドークさんは、「最初は未確認飛行物体(UFO)だと思った。でも実は中国のスパイ気球だったんだ」とし、中国の偵察気球を撮影、実況中継した動画が拡散している。

米政府が偵察気球の存在を公表していなかった1日午後5時半ごろ撮影を開始し、「何だか分からない。月だって思う人もいるかもしれないけど、月より断然小さいんだ」と気球を紹介。近くの空港の発着が中止されていたことにも触れ、異変を察知していた。

英紙フィナンシャル・タイムズは5日、「中国と米国が互いに諜報活動を行っていることは、ほとんど明らかになっていない。だが、アラスカからカナダを経てモンタナを通過した気球は、全米のテレビ視聴者や政治家たちの魅了するハリウッド映画の品質を備えて、バイデン政権への対応への注目が高まっている」と報じた。

気球が領土の上空を通過したカナダの外務省は駐中国大使を召喚し、声明で、「複数のチャンネルを通じ、わが国の立場を積極的に中国側に伝えていく」と述べた。


 


 

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