注目ポイント
ウクライナのクレバ外相は今週、西側諸国から「第1波」として供与される戦車が120~140両に上ると明らかにした。ドイツや米国が主力戦車の供与を決断したことで、12か国からの〝戦車連合〟は実現する見通しとなったが、今度は西側からの戦闘機供与の可能性が浮上している。
国防総省のライダー報道官は、米国と同盟国が「ウクライナの既存の航空能力を維持し、強化するために短期的な支援は提供しており、長期的支援についてはウクライナと協議している」とした。同省は昨年4月には一部の同盟国が、ウクライナがすでに保有している航空機の部品を供与することにも同意していることを明らかにしている。
ライダー氏は、「戦況は依然として流動的で、ウクライナが戦場で力を発揮するために必要な訓練、装備、能力を必要に応じて提供している」と述べた。
ウクライナが最初に西側に戦闘機の支援を求めたのは、昨年2月の開戦後数週間にさかのぼる。同国の空軍が保有していたのは数十機のソビエト製MiG-29と、少数のSu-24大型の戦闘爆撃機、Su-25攻撃機、Su-27戦闘機。ロシアの地対空ミサイルシステムをかいくぐって出撃したが、数機はすでに撃墜された。
英シンクタンク「ロイヤル・ユナイテッド・サービス・インスティテュート」によるウクライナの制空権の評価によると、ロシア空軍は、航空機に搭載された長距離ミサイルと全体的に優れた技術により、ウクライナ空軍に比べて「非常に効果的で致命的な打撃力を持っており、優位性を保っている」という。
一方、西側から新たなシステムが導入されたウクライナの防空システムも改善されており、ロシアの航空戦力を近づけていないことも今回の評価で分かった。それは、西側の戦闘機が少数でも存在すれば、相当な抑止効果を発揮できることを示唆していると同シンクタンクは結論付けた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は先週、ドイツで開催された米欧の国防トップによる会合で、戦車、長距離ミサイル、防空システム、F-16戦闘機の必要性を訴え、迅速な供与を求めた。その数日後、各国は戦車の提供に合意した。他の要求についてはまだ流動的だが、戦闘機についても今後、水面下で調整が行われる可能性は高いとみられている。