2023-02-03 政治・国際

西側のウクライナ支援で主力戦車供与に続き 仏大統領、戦闘機送る可能性「排除されない」

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注目ポイント

ウクライナのクレバ外相は今週、西側諸国から「第1波」として供与される戦車が120~140両に上ると明らかにした。ドイツや米国が主力戦車の供与を決断したことで、12か国からの〝戦車連合〟は実現する見通しとなったが、今度は西側からの戦闘機供与の可能性が浮上している。

クレバ外相は先月31日、「戦車連合に参加するのは12か国に上る」と述べたが、具体的な国名には言及しなかった。ただ、米国の主力戦車M1エイブラムス、ドイツのレオパルト2など各国の主力戦車を挙げた上で、供与が決まっていないフランスのルクレールにも「期待している」と述べた。

フランスのルコルニュ国防相は同日、パリを訪れたウクライナのレズニコフ国防相と会談し、共同記者会見でルクレールは「維持管理が難しい」と述べた。ただし、ルコルニュ氏は、これまでに18門を提供している自走榴弾(りゅうだん)砲に加え、12門を追加供与すると発表した。

その前日、マクロン仏大統領は、オランダ・ハーグで同国のルッテ首相との会談後に開いた記者会見で、ウクライナへの戦闘機提供の可能性について問われ、「原則として排除されるものはない」と語った。

ただし、供与決定にはウクライナからの要請が前提となると説明。提供する兵器は紛争激化につながらず、ロシア領土への攻撃ではなく防衛支援のみに使われるものでなければならないとした。オランダ政界でも最近、ウクライナにF‐16戦闘機を提供する案が浮上。ルッテ氏もマクロン氏と同じく可能性を全面否定しなかったが、慎重姿勢を示した。

一方、米国のバイデン大統領は30日、ウクライナにF-16戦闘機を供与するのかと記者に問われ、「ノー」と明言した。ウクライナは、ロシアとの戦争で自国領空を支配するには戦闘機が必要だとしている。

米戦闘機「F-16ファイティング・ファルコン」は、世界で最も信頼性の高い戦闘機の1つとされ、米軍はもとより20か国以上の同盟国・友好国が保有している。その数は総数で5000機ともいわれ、現在も改良を続けながら生産されている戦闘機のベストセラーだ。

ウクライナが現在運用している戦闘機は、ソ連時代の30年以上前に製造されたもの。F-16が供与されれば、空軍力は格段にアップグレードされる。

バイデン氏が戦闘機の供与を否定したことについて、米国防総省関係者の間では、その否定したことを懐疑的にとらえていると米紙ワシントン・ポストは伝えている。

つまり、バイデン氏の「ノー」が、今後一転することを示唆しているというのだ。ある国防総省高官は、主力戦車の件を直近の例として挙げ、これまで米政府当局は数か月にわたり、「M1エイブラムス戦車のような洗練された兵器は、ウクライナ側では維持できない」と説明し、「供与はない」としてきたが、結局、先月下旬、バイデン大統領は同戦車31両をウクライナに供与することを最終的に承認した。

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