注目ポイント
2022年7月、Volkswagenのグループ会社とSTMicroelectronicsは、車載半導体チップ(SoC)を共同開発すると発表した。SoCのウエハー製造はTSMCに委託する予定。これはまれにみる事例といえる。 これから数年の間にウエハー工場の建設は84か所も予定されているが、研究機関の最新報告によると車載半導体不足の状況は再来するという。その理由は電気自動車の増加に対してチップの製造が追いつかないだけではなく、電子機器もチップが必要であること。半導体不足の問題を解決するため、これから自動車産業は方向転換を図り、半導体サプライヤーと直接的な関係を築き、新たな半導体サプライチェーンを構築する。
例えば、電子機器が水に浸ることは基本的にないが、車載半導体は地形や気候に合わせて調整する必要がある。緯度の低い地域では放熱、緯度の高い地域では凍結を考えなければならない。半導体とはいえ、家庭用電化製品用の半導体と車載半導体は別物なのだ。
業界関係者の話によると、自動車のサプライチェーンは電子製品業界のそれより複雑だ。従来の自動車メーカーが電気自動車の製造に方向転換をしても考え方は、電子製品メーカーと異なる。多くの半導体業者は製造量を調整する際、自動車メーカーとのコミュニケーションに悩まされる。
「フィナンシャル・タイムズ」紙がドイツのシンクタンクStiftung Neue Verantwortung (SNV)の研究報告を引用し、自動車メーカーの多くは地元で車載半導体チップ専用の工場を建築することが望まれると説明した。理由としては半導体チップの確保、電子機器業界との奪い合いを回避、長期的な関係が構築可能であることが挙げられている。
記事によると、車載半導体のサプライヤーは車載半導体の専門工場にて半導体チップを製造することになるという。例えば、Volkswagenのグループ会社とSTMicroelectronicsは、車載半導体チップ(SoC)を共同開発すると発表した。SoCのウエハー製造はTSMCに委託する予定。Volkswagenグループは初めて半導体サプライヤーと提携関係を結んだと強調した。だが、これから半導体チップの需要が急増していく中、車載半導体不足の問題は再び業界を苦しめると不安視されている。