注目ポイント
米国で今、渦中の人となっているのは、昨年11月の米・中間選挙でニューヨーク州から連邦下院議員に初当選した共和党のジョージ・サントス氏(34)だ。学歴から職歴、人種的背景まで全て詐称していたことが判明し、「名前さえウソではないか」という疑惑も浮上。検察当局は捜査に着手した。当の本人は、「詐欺師」との罵声をよそに、「議員辞職する考えはない」と開き直っている。
ジョージ・サントス下院議員については、選挙資金に関する疑いも浮上している。辞任を求めずに静観を続ける共和党執行部にも批判が高まるなど、批判がやまない。
そんなサントス氏の〝自称経歴〟は華々しいものだ。ブラジル移民の両親のもとに生まれ、ニューヨーク・ブロンクスのホラス・マン高校を2008年に卒業後、ニューヨーク市立大学バルーク校に入学。金融経済学を専攻し、全学生のトップ1%の優秀な成績で卒業。同大ではバレーボール部のスター選手としても活躍した。また、名門ニューヨーク大学ではMBA(経営修士)を取得した―と、自称の高学歴はここまでだ。
高校側は米CNNの取材に、サントス氏が同校に通った形跡はないことを確認したと伝えた。ただ、後に高校卒業と同等の公的証書を所得したとされる。
また、大学についても「2010年卒業」としていることから、同学部のコースを通常の4年ではなく、2年で修業したことになるが、大学側は米紙ニューヨーク・タイムズに、サントス氏が入学した記録はないとし、当然、「バレーボール部での活躍」も否定した。さらに、ニューヨーク大学もサントス氏の在籍記録を確認できないとしている。
サントス氏は学歴詐称疑惑について、米紙ニューヨーク・ポストに「高等教育は、どこも卒業はしていない」と白状した。
さらに、職歴についても詐称だらけだ。〝大学卒業後〟に米金融大手のゴールドマン・サックスとシティグループに勤務したと昨年の選挙公報には記したが、両社ともに同氏を採用したことはないとタイムズ紙に回答した。
サントス氏の選挙活動用のプロフィルには、同氏が「フレンズ・オブ・ペット・ユナイテッド」という動物愛護団体を運営し、13~18年までに2500匹のイヌとネコを救出したと主張している。だが、そんな団体のソーシャルメディアアカウントはなく、サントス氏が記したように、ニューヨーク州や隣のニュージャージー州にも団体登録は無かった。
ただ、タイムズ紙は同団体が17年、ニュージャージー州で別のグループと共同で1度だけ募金活動を行い、サントス氏は1人50ドルの参加費を求めていたことを突き止めた。だが、イベントを主催したグループは、そうしたカネは受け取っていないと説明。サントス氏は金銭の受け取りについての説明を二転三転させている。
サントス氏はまた、イヌの手術費用としてクラウドファンディングで集めた3000ドル(約39万円)を着服した疑惑も出ている。米オンラインニュース「パッチ」によると、