注目ポイント
台北在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、台湾で見つけたさまざまな食材を用いて、季節や年中行事に合わせたおつまみのレシピや相性抜群のお酒を紹介する月イチ連載。第四回は「羊肉と菜心の沙茶醤(サーチャージャン)炒め」。羊肉を旬の野菜と海鮮風味の調味料・沙茶醤で炒めた、身体がぽかぽかになる一品です。
今月のおいしい季節食材「羊肉」
台湾で寒い時期によく食べられているもののひとつが羊肉! 身体を温めてくれる性質があり、滋養強壮にもよい食材として、炒め料理やスープ、鍋料理などに用いられています。
ちなみに台湾ではヤギ肉も「羊肉(山羊肉、土羊肉とも)」として扱われていて、冬を代表する漢方テイストの鍋料理「羊肉爐(ヤンロウルー)」には台湾産ヤギ肉が使われることが一般的です。
生後1年未満の子羊はラム、それ以上の年月育てられた親羊はマトンと呼びますが、それぞれに違った個性的な香りと味わいがありますよね。高タンパクで低脂質の羊肉には気を補って慢性疲労をやわらげてくれる働きもあり、エネルギーチャージしたいときにもぴったり。

今月のおつまみ「羊肉と菜心の沙茶醤(サーチャージャン)炒め」
今月は「羊肉と菜心の沙茶醤(サーチャージャン)炒め」をご紹介します。魚や干し海老、香味野菜をベースにした海鮮風味の「沙茶醤」は、台湾でポピュラーな調味料。これに羊肉や野菜を組み合わせた炒めもの「炒羊肉」は、熱炒(台湾式居酒屋)や羊肉専門店などで気軽に味わうことができます。
ふだんは空芯菜や青菜と一緒に炒めることが多い羊肉ですが、この時期に旬を迎える台湾野菜の「菜心(ツァイシン)」を合わせてみました。塩をまぶしてアクを抜いた菜心はしゃきしゃきとした歯ざわりで、独特の風味を持つ羊肉とも好相性。
フライパンで食材をさっと炒めてから調味料を混ぜるだけの簡単メニューで、白いごはんやチャーハン、焼きそばなどのおかずにもなります。寒い時期には、唐辛子やにんにくを多めに加えて、パンチの効いた味わいに仕上げるのがおすすめです。
材料とつくり方
【材料(2〜3人分)】
羊肉(薄切り) 150g
菜心 150g
にんにく 2かけ
唐辛子 1本
紹興酒 適量
沙茶醬 小さじ2
醤油 小さじ2
水 大さじ1
ごま油 適量
片栗粉 適量
黒こしょう 少々
【つくり方】
- 羊肉の薄切りは食べやすくカットして、紹興酒と醤油少々(分量外)をもみ込んでおく。菜心は皮をむいて適当な厚さにスライスし、塩(分量外)をまぶして10分ほどおく。出てきた水分はキッチンペーパーで拭き取る。
- にんにくは粗いみじん切り、唐辛子は小口切りにする。沙茶醬、醤油、水を小さいボウルに入れて混ぜ合わせておく。
- フライパンにごま油を熱し、にんにく、唐辛子を炒めて香りを出す。
- 羊肉に片栗粉をまぶしてもみ込み、3のフライパンに加えて中強火で炒める。
- 2の合わせ調味料を加えて混ぜ、菜心も加えてさっと炒めたらできあがり。器に盛り付けて黒こしょうをトッピングする。

おつまみに合うお酒&ひとことメモ
羊肉料理を食べながら「高粱酒(ガオリャン/穀物が原料の蒸留酒)」をちびちびいただくのが台湾流ですが、アルコール度数が高いものが苦手な方はビールやハイボールでさっぱりと楽しむのもおすすめです。
また意外なところで、フランス・ジュラ地方のミネラリーな白ワインまたは酸化熟成タイプのワイン「ヴァン・ジョーヌ(黄色のワインという意味)」にもよく合うんですよ。
羊肉は薄切りでも厚切りでもかまいませんが、ロースやカルビなど脂が多めで柔らかい部位を選びましょう。片栗粉をまぶしてから中強火でさっと炒めることで、ジューシーなお肉の旨みをしっかりと閉じ込めることができます。