注目ポイント
日本で、台湾について質問すると、使い古されたクリシェ(常套句)のように毎回出てくる言葉に「親日的」というものがある。でも、ちょっと待って、と私は思ってしまう。なぜなら、単に安易なイメージだけで捉えるのではなく、フラットな目で事実を見つめる態度こそが、日本と台湾のより深い相互理解に繋がると信じているからだ。
第一稿:事実はイメージより奇なり
台湾は「親日的」ってホント?
日本で、台湾について質問すると、使い古されたクリシェ(常套句)のように毎回出てくる言葉に「親日的」というものがある。でも、ちょっと待って、と私は思ってしまう。なぜなら、単に安易なイメージだけで捉えるのではなく、フラットな目で事実を見つめる態度こそが、日本と台湾のより深い相互理解に繋がると信じているからだ。
歴史を紐解くと、日本は、1895年に日清戦争で勝利し、台湾が割譲され、台湾を支配する權利を得た。接収しようと日本から近衛師団が船に乗って続々と台湾に向かっていく。
一方、台湾のほうは、抵抗を呼びかけ「台湾民主国」が樹立され、正規軍と義勇軍が結成される。はじめ、淡水から敵前上陸しようとした日本軍は、正規軍が待機しているのを観て、戦力の劣る義勇軍の待つ基隆からの上陸に切り換える。
この上陸場所には、現在、「塩寮抗日紀念碑」が建っている。日本は、かなりの消耗戦の果てに台湾の統治を完了したが、乙未戦争とも呼ばれるこの戦争は、台湾にとって最大の戦争とも言われ、両者に少なからず犠牲者を出した。こういう歴史を知れば、簡単に親日とは言い切れないはずだ。
また、話を現代に移すと、台湾の若者は一般的にリベラルの民進党支持者と言われ、日本のリベラルな友人たちも、LGBT法の成立や、オードリー・タンのデジタル大臣起用、反原発法の制定を軽々しくやってのける蔡英文政権を羨ましく見つめている。
しかし、私の周りに限ってのことだが、台湾人の民進党支持者のリベラルな友人たちは、日本の保守政党である自民党が結構好きだ。おそらく、シビアな対中政策と親米路線によるものだと思われるが、日本のリベラルな人たちからしたら、信じたくない事実であろう(もちろん例外もある)。
このように、物事の本質やその背景にある客観的な事実を垣間見ると、いとも簡単にパラダイムシフトの嵐が頭の中を駆け巡り、全く違った物語が形作られるのも確かである。
私は自身の仕事を通じ、正しい判断のための事実に基づいた材料を、より多くの人に提供することこそ自らに課せられた使命だと考える。
次回以降、少しでも多く現場を訪ね、掴み取った確かな歴史や事実を、掲題の「いちにの算数いーあるさんすー:台湾ルネサンス時評」として寄稿する。
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