2023-01-31 政治・国際

【広橋賢蔵の『余はいかにして“台湾”人となりしか』】① 「中華民国」身分証と永久居留証どっちがオトク?台湾で帰化して分かったこと!

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注目ポイント

台湾人女性と結婚し、長年台湾在住のライターとして活躍してきた広橋賢蔵氏が、ついに台湾現地に本格的に根を下ろすことを決心し、このほど帰化が認められた。日本人が「TAIWAN」(中華民国)パスポートを手にするまでの心境とは。そして実際に手にしたいま、その目に映る風景はどう変わったのか。

台湾(中華民国)籍取得者はもれなく漢名ゲット!

ビジネス、留学、結婚、日本から台湾に渡った理由はどうあれ、台湾で長期間暮らし、その風土になじみ、そのまま移住する人もいる。その場合、どういう身分で過ごすのが最も合理的なのか、というのは大きな悩みである。

中には生まれ持った国籍を捨て、その地で帰化するという選択肢もあり、台湾でも帰化手続きをする日本人も少なからずいるのが実態だ。しかし、それを実行するにはハードルが高いイメージもあるようで、筆者の周囲では台湾(中華民国)籍に帰化せず、居留ビザで5年間滞在すれば比較的取得しやすい「外籍永久居留証(パーマネントビザ)」で長期滞在をする邦人が主流のようだ。

帰化手続きをしない台湾在留邦人の多くは、おそらくこう考えるのだろう。「台湾で帰化して何の得になる?パーマネントビザと違うのは、選挙権があることなどを考慮したとしても、日常の生活をするうえで何かが特別便利になるわけではないじゃないか」と。

確かにその通りで、筆者も1990年代から出版社や語学学校で取得した就業ビザや、配偶者が台湾人ということで発行される依親ビザを得て、長きにわたって台湾で暮らしてきたが、特段、帰化申請をする必要性までは感じずに過ごしてきた。が、「台湾で老後に各種福祉サービスを受けるためには、中華民国(台湾)籍を持つ方が得みたいですよ」と帰化手続きを始める知り合いが現れたので、筆者も在台30年の実績ならば帰化申請の資格もあるだろうと、台湾(中華民国)籍を取得する考えに至った、というわけだ。

単にTAIWAN(中華民国)パスポートをわが物にしてみたいという単純明快な好奇心もあった。加えてパスポートを取得したら「台湾同胞証」という、中国大陸で自由に滞在できる渡航証も取得して、中国訪問時に役立てようという打算もあった。このあたりの事情については後日、詳しくご報告しよう。加えて台湾の身分証には中国語名が記載できるので、日本の姓名と違う華人らしい漢名をつけられる(まだ決めていないけれど)ようなので、一種の変身願望というか、別の人格になれるような、ちょっとワクワクする楽しみも感じていた。

帰化国籍許可証書と中華民国居留証(広橋賢蔵氏提供)

この帰化手続きを始めるにあたっては、500人に近い在台邦人会員を持つ「居留問題を考える会」の存在にも行きついたので、そこで有意義かつ合理的なアドバイスも受けられたのだが、ここは一番、台湾の根を下ろす覚悟を示すべく基本的には極力自身の力での申請を試みることにした。 

帰化国籍許可証書を手にする筆者(広橋賢蔵氏提供)
 
日本国籍離脱に大きな壁
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