2023-01-27 政治・国際

ウクライナ支援で独米と主力戦車の供与決定 西側結束しロシアへの軍事圧力を一層強める

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注目ポイント

ウクライナへの戦車供与に慎重だったドイツは25日、自国製主力戦車「レオパルト2」14両を提供すると発表した。それに呼応する形で米国のバイデン大統領は、〝世界で最も能力の高い戦車〟米軍主力戦車「M1エイブラムス」31両の供与を決定した。バイデン氏は同日、同盟国である英独仏伊の首脳と電話会談し、ウクライナ支援での緊密な連携を確認した。

ウクライナがレオパルト2を強く求めた理由についてロイター通信は、同戦車の強みは「西側陣営で最も優れた戦車の1つということに加えて、最も広く使用されている戦車の1つだという点にある」と指摘。「現在、20か国ほどで運用されており、いくつかの国が保有分の一部をウクライナ支援に回すことが可能だ。単一のモデルを大量に運用すれば、ウクライナにとっては乗員の訓練や保守管理がしやすくなる」と解説した。

ところが、ドイツの防衛産業は、法律によって在庫維持のための生産を禁じられていることから大量発注することは不可能だという。通常、新しい戦車を発注する国は納入まで2~3年必要で、仮に生産が拡大されても、最初の出荷まで少なくとも2年かかるとする専門家の話をロイターは伝えた。そのため、ウクライナとしては、すでに運用されているレオパルト2の供与を求めていた。

レオパルト2をめぐる西側の相次ぐ供与決定に、ロシアは強く反発している。ドイツ駐在のネチャエフ大使は25日、「極めて危険な決定は紛争を新たな対立のレベルにまで引き上げるものだ」との声明を発表。「すでに嘆かわしい状態にある両国の関係に取り返しのつかない損害を与えるだろう」と付け加えた。

ロシア外務省のザハロワ報道官はドイツの決定について、紛争をエスカレートさせると反発。その上で、ドイツは第2次世界大戦に端を発する「ロシアへの歴史的責任」を放棄していると非難し、ロシアに対する「あらかじめ計画された戦争」であることを裏付けると主張した。

これまでのところ、プーチン大統領はコメントを発表していない。


 

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