注目ポイント
大阪で今月、河口に迷い込んだ体長約15メートルのマッコウクジラが死に、大きな話題になったが、米・東海岸でも漂着して死ぬクジラが相次ぎ、米メディアによると、昨年12月から1月中旬までの6週間で、その数は14頭にも上った。専門家は「この数年、漂着は増加傾向にあり懸念している」とし、温暖化による活動範囲の変化で人間との接触が増えた可能性を要因の一つに挙げた。
昨年12月1日以降、米・東海岸で14頭のクジラが謎の死を遂げていることについて、地元当局者と環境保護活動家らはその背後にあるものを突き止めようとしている。一部は、この地域での洋上風力発電所の開発が背景にあると指摘しているが、当局者は、風力発電所との関連性を示す証拠は見つかっていないと主張している。
2016年から東海岸に沿ったザトウクジラの「異常な死亡率」を追跡してきた米国海洋大気庁(NOAA)は、過去6年間でフロリダ州からメイン州まで178頭のザトウクジラの死を検証してきた。
うち約半数のクジラの死体解剖を行ったところ、40%は漁具に引っ掛かったり、船に衝突したりして死んだことが判明。中には絶滅危惧種のマッコウクジラも、東海岸で死んでいるのが発見されている。
16日にメリーランド州に漂着したザトウクジラの死因は、地元の風力発電所の開発が原因だとの憶測が広まる中、NOAAと海洋エネルギー管理局(BOEM)が記者会見を行った。
NOAA漁業保護資源局のベンジャミン・ロウズ氏は、「洋上風力発電の開発に使用される機器のいずれかが、クジラの死に直接つながる可能性があることを裏付ける情報はない」とし、「沖合の風力発電活動とクジラの座礁との間に関連性は分かっていない」と続けた。
大西洋側中部沿岸でのクジラの座礁の増加には、複数の要因が考えられると連邦当局者と地元の専門家は指摘。例えば、ザトウクジラの個体数は増加しており、クジラが捕食するニシン科の魚メンハーデンを追って、ニューヨーク州やニュージャージー州の沖で目撃されるザトウクジラの数が増えていることとの関係性に注目している。
また、クジラのエサ魚メンハーデンは、両州にある港への貨物船の航路がある地域で回遊していることから、それを狙って集まるクジラと船舶との衝突が起きているという。
一方、気候変動と海水の温暖化は、クジラがエサを求めて移動したり、条件のより良い水域に移動したりする際、その移動パターンに影響を与える可能性があると、NOAAの広報官ローレン・ガイチェス氏は述べた。
そんな中、太平洋側の米・西海岸オレゴン州でも、この2週間で打ち上げられた4頭のクジラが死んでいるのが確認されている。
米オレゴン公共放送(OPB)によると、コククジラの死骸が今月11日、リーズポート近くの中央海岸で発見され、その2日後、マッコウクジラの死骸が北海岸のフォート・スティーブンス州立公園に打ち上げられた。さらに、そこから約100メートル離れた場所で18日に死んだコククジラが、浜辺で発見された。