2023-01-25 政治・国際

2023年は台湾海峡で何が起きるのか 台米、中国の台湾統一阻止へ5年計画開始

© Photo Credit: GettyImages Taiwan military drill

注目ポイント

米国は、習近平政権による「台湾統一」が2027年に起きる可能性が最も高いと警戒。台湾は「空と海の戦力強化計画」を27年までに実施し、米国などと共に習近平国家主席の野望を阻止したい考えだ。そんな台湾をめぐる米中の思惑をフランスのニュースサイト「ワールドクランチ」が解説する。

2023年に台湾海峡で何が起こるか。それを予測するには、昨年起きた3つの重要な地政学的出来事の深刻な影響を念頭に置く必要があると仏ニュースサイト「ワールドクランチ」は指摘する。ロシアのウクライナ侵攻、ナンシー・ペロシ米国下院議長の台湾訪問とその報復として始まった中国の軍事演習、そして習氏の歴史的とも言える3期目続投だ。

この3点は、習氏が権力を掌握するだろう次の10年(またはそれ以上)の間に目指す台湾統一に関連する共通点だと同サイトは指摘する。それは台湾にとって長所と短所の両面があるという。

その一つが、「台湾は数日のうちに制圧できる」などという中国の楽観論は、ウクライナ侵攻によりロシアが国際社会で居場所を失ったことで再考を迫られることになったという事実だ。

ワールドクランチは、「中国が台湾を武力で占領する計画を簡単に放棄することはないだろうが、何か特別な事態が起こらない限り、中国がすぐに戦争を仕掛ることはない」と分析。さらに、中国人民解放軍の主要兵器の多くは使用されたことがなく、統制された軍事力を構築するには何年もかかると付け加えた。

一方、ロシアのウクライナ侵攻は台湾にとっても悪影響を及ぼしているという。米国はウクライナに大量の武器・弾薬を供与したため、以前に台湾が購入した装備の調達が遅れているのだ。これは、国防を強化し、中国を抑止するという台湾の防衛計画に深刻な事態を招いている。

中国がすぐに軍事行動に出る可能性は低いが、ペロシ氏の訪台後に中国が始めた軍事演習は、台湾海峡の中心に暗黙の了解で引かれた境界線をすでに破っている。さらに、「台湾の防空識別圏(ADIZ)の南西隅に侵入することに加え、最近の軍事飛行は海峡の中心線を繰り返し通過し、引き返す前に台湾に向かって飛行し続けている。これは海峡の北端で最も頻繁に見られ、台湾北部の政治的および経済的中心地に対する深刻な脅威であり、「明らかに台湾に対する攻撃ルートの事前演習だ」と同サイトは解説した。

言い換えれば、中国は将来の軍事侵攻に備え、台湾海峡の空域を把握するため、人民解放軍のパイロットを体系的に訓練していることに他ならない。海上でも同じことが言える。同軍の艦船が台湾海峡を絶えず移動し、その対空ミサイルがすでに台湾上空を網羅し、台湾空軍への圧力を高めている。

中国による軍事的圧力を相殺するため、米国は定期的に台湾海峡を越えて軍艦を派遣するだけでなく、英国、オーストラリア、カナダからの海軍艦艇の参加も呼び掛けている。

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