2023-02-18 調査データ

コロナ禍における現状に対する実感

注目ポイント

本調査が開始された12月2日では、全国のコロナウイルス新規陽性者数は約11万人/日となっており、感染状況は先月より3倍以上と急拡大している。重傷者数も350人/日と増加傾向を示しており、コロナウィルス感染症の深刻度合いが確実に増している。また物価高を背景とした生活費の上昇により、家計が圧迫されている現状は変わらない中、国民の現在の認識、景況感、消費意欲には、前回調査時点と比べどのような変化が見られるだろうか。 本レポートでは、現状に対する実感、コロナウイルスの深刻度、消費財に対する予算の変化について年代・カテゴリー別にアンケート調査を行い、日本の一般消費者が現状をどのように感じているかについて考察した結果をまとめる。

この記事はEngagement labの許可を得て掲載しています

第8波到来の今、国民の現状に対する認識は半数以上が悲観的

過去1年間の日本の状況に関する実感では、依然として半数以上の人が「悪化している」と認識している。今後1年間の展望に関しては、「悪化する」と回答した人の割合は先月調査より若干低下したものの、「好転する」と楽観的に考えている人は全体の6%に過ぎない。日本国民の大多数は依然として現状を厳しく捉えており、国内は未だ悲観的な空気が蔓延している様子が伺える。

再び悪化に転じた日本国民のコロナウィルスに対する深刻度

新型コロナウイルスの現状について、「非常に危険だ」と認識している人(T3B)は、先月調査より2.6ポイント上昇し、全体の約24%となった。また、「それほど深刻ではない」と感じている人(B3B)の割合は16.7%で、先月よりもさらに0.7ポイント減少した。第8波の流行が本格化してきており、人々のコロナウィルスに対する認識が先月よりもさらに悪化している。

依然として停滞傾向にある消費者の購買意欲

今後1ヵ月間の消費支出予想では、16%が消費の増加、27%が減少を見込んでおり、依然として、予算の減少を想定している人の方が多く、先月同様、購買意欲は停滞しているといえる。この傾向は、特に、30歳代で顕著となっており、予算の減少を想定している人の割合(28%)は、増加を想定する人(12%)の2倍以上となっている。
商品カテゴリー別では、「外食/娯楽」や「旅行」カテゴリーでは、先月と比較して、消費支出予測に大きな変化はなく、全体としては依然、支出の減少を予定している人の割合の方が高く、外食や旅行に積極的に消費しようとする動きはみられない。また、「家庭用品」への支出では、予算の減少を想定している人の割合がやや減少したものの、8割以上の人が変化なしとの回答となった。

 

夏のコロナウイルス感染拡大の第7波から、少し緩和した秋を経て、懸念されていた通り、日本では再び第8波が猛威を振るっており、1日当たり平均のコロナウィルス新規感染者数は、先月に比べ3倍以上で推移し、重傷者数も日増しに増加傾向を示している。そのため今回の調査でも、日本国民のコロナウィルスに対する深刻度、日本の現状に対する認識ともに、悲観視している人の割合の多さが目立つ結果となった。また先月は、政府によって進められた観光需要喚起策が、国民の購買意欲に幾ばくかの好影響をもたらしているかのように見受けられたが、今回は外食や旅行の消費動向に大きな変化は見られず、消費財の予算は全体として依然、停滞傾向であった。これからさらに年末年始を迎え、この「第8波」が、現状をピークに減少に転じていくのか、あるいは今しばらく継続してしまうか、感染状況を注視していく必要がある。こうした状況の中で、各種業界における事業の意思決定者には、日本の一般消費者の心情の変化を踏まえ、事業計画の策定をしていくことが望まれる。

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