注目ポイント
慈聖宮の屋台の前に立って初めて、台北の昔の人たちがどのように朝の時間を楽しんでいたかが分かる。海鮮やサメを燻した昔ながらの豚のレバースープ、排骨湯など種類豊富な美食たち…もちろんビールも欠かせない。
「早起きは三文の徳」と言うものの、私は基本的に朝食をあまり食べない。特に休日は、おいしい朝食のために早起きしなければならないくらいなら、枕という名の山に登って、午後まで寝ていたい。
とはいえ、特別な理由があれば早起きすることもある。ただ、それは睡眠時間を犠牲にしてもいいと思えるほど、特別なものでなければならない。友人から「明日飲みに行こう!」と言われたので当然のごとく「夜の何時?どこのバー?」と返した。しかしそこで「朝から飲めるんだよ。場所は『這座城市(この街)』だよ。」と返されたのだ。
彼の言うこの街とは、どこかのバーの店名ではなくこの台北のことで、さらに彼はこう続けた。「その気になれば、この街全体が僕らのバーだ」と。そこで、とある週末にバーには行かず、朝からお酒を飲めるような旅に出かけた。
#01:大稻埕慈聖宮廟前|Fine Diningではできない体験
若輩者の私は、台北の老人の生活がどんなものか分かっていなかったが、慈聖宮の屋台の前に立って初めて、台北の老人の朝がいかに楽しいものかを実感した。
ここの屋台は一列に並んでいて、見た目は素朴だが、中の人はみんな料理上手で何を食べてもおいしい。やはり何十年も毎日ここで店を開き続けるには、常連たちの舌を魅了するような料理でなければならないのだろう。
このエリアで最も人気があるのは、屋台の奥にある大きなガジュマルの木の下にある座席エリアだ。私にとって外に座って食事をすることは、死んだ方がマシと思えるくらいのことだったが、木の下で美食をおいしそうに食べている人たちを見ると、たまらずに屋台に駆け込み、汗だくでおつまみとビールを頼んだのだった。

© 用眼過度

© 用眼過度
私たちが台湾ビールの瓶を1本ずつ頼んでいるのと違って、他のテーブルではケース単位でお酒を飲んだり、暑い夏の日には上半身裸で豪快に料理やお酒を楽しんだり、私の目には屈強な武道家たちが、日中の生活をとても楽しんでいるようにも見える。
そして、おいしい食事を終えて帰ろうとした時、お寺の前の階段に座ってお酒を飲んでいるおじさんたちを見かけた。おいしい食事は豪華でなければならないと、誰が言ったのだろうか?ガジュマルの木の下でおいしい食事とお酒に囲まれるのも一種の朝の贅沢なのではないだろうか、と思った。
#02:龍山寺前広場|白髪の同窓会
次に紹介する龍山寺前の広場も朝酒の一種である。
この地域を知らない人であれば、広場で休んでいるこの老人たちをホームレスだと思ってしまうかもしれない。しかし、そうではなくこのおじいちゃん、おばあちゃんたちは皆「物語を持つ人」で、日中のこの時間を利用して友達数人と楽しく過ごしているだけだ。龍山寺広場の近くにあるほとんどの小吃店は、豚の角煮飯、牡蠣オムレツ、魚のつみれスープなどの台湾の伝統的な小料理を提供している。