注目ポイント
台北在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、台湾各地の歴史ある市場やファーマーズマーケットを舞台に、季節のおいしい食材や台湾らしいユニークなモノやコト、その楽しみ方を紹介する月イチ連載。今回は、春節用の食材などを求める買い物客でにぎわう台北屈指の伝統市場・南門市場をご案内します。
観光がてら気軽に立ち寄れる南門市場でおみやげ探し
台北の人気観光スポット・中正紀念堂に近く、コロナ以前は地元の人や多くの観光客でにぎわっていた南門市場。百年以上の歴史を誇る台北屈指の伝統市場は、もともと台北MRTの中正紀念堂駅前にありましたが、新たな路線開通に向けた駅周辺の整備に伴い、2019年秋にもとの場所から歩いて10分弱、中正紀念堂の裏手に移転。「南門中継市場」として営業が続けられています。新しく市場が入るビルは今年5月頃の完成といわれており、どんな姿に生まれ変わるのか楽しみでなりません。

2階建ての市場には服飾雑貨エリアやフードコートもありますが、南門市場の名物といえばやはり食品! 金華ハムやフカヒレ、貝柱をはじめとする高級食材、中華料理に使われる乾物類が特に充実しているほか、ナッツやドライフルーツといったおみやげにぴったりの個包装パッケージも豊富に揃います。
火鍋に欠かせない名物グルメ「蛋餃」も要チェック
冬至に食べる湯圓(タンユエン)や点心類、餃子や生麺、そのほかお惣菜を販売する専門店も多く、特に春節(旧正月)前は驚くほどの混雑ぶり。南門市場の名物である「蛋餃(ダンジャオ)」を求めるお客さんが場内にあふれ、あちこちに長蛇の列ができるのもこの時期ならではの光景です。

卵の生地でひき肉あんを包んで餃子のような形に焼いた蛋餃は、台湾の火鍋には欠かせない食材です。ここでは焼き上げたばかりの熱々を買えるのもうれしいところ。スーパーマーケットで見かける冷凍タイプとはひと味違うおいしさで、一度ハマると定期的に食べたくなる逸品です。

野菜に魚介、冬においしい食材が目白押し
大混雑しているお惣菜や乾物類のお店に比べると落ち着いた印象の生鮮食品エリア。海鮮コーナーでは、「年菜(新年に食べる台湾式のおせち料理)」に用いられる高級魚のラインナップが充実していました。白鯧魚(白マナガツオ)を筆頭に、黃魚、吳郭魚などの日本ではあまり見かけない魚もずらり!

冬の野菜としては葉もの、根菜類がやはり主流ですが、ニラ、セリ、菜の花、そのほか豆類が徐々に増えてきたところに春の兆しを感じました。フルーツではしゃきしゃきとした食感の蓮霧(レンブ)、青りんごのような見た目の蜜棗(青ナツメ)などが旬を迎えています。

2023年の春節は1月22日。場内のショップでは、今年の干支であるうさぎをモチーフにした可愛いペーパーアイテムも購入できます。ただし、春節の連休で市場も22日からお休みに入ってしまうので、「台湾でも年越し気分を味わいたい!」という方は週末の土曜日までが勝負。ぜひ早めに足を運んでみてくださいね。