注目ポイント
台湾と日本を拠点に活動する日本人写真家が、スポーツやエンターテインメントの第一線で活躍する台湾人=台灣之光(台湾の光)の素顔に迫る企画。今回は日本ハンドボールリーグの豊田合成ブルーファルコンに所属する趙顯章選手を取り上げます。
「日本のハンドボール界で活躍している台湾人がいる」そんな噂を聞きつけて訪れた人生初となるハンドボール観戦。あまり室内競技を見たことなかったわたしは、両チームのファンの熱が入った応援や、観客席とコートの距離感が近いことに少し緊張感を感じました。
そして、コート上にはほかの選手より圧倒的に長身の選手が。そう、彼こそが噂の趙顯章(チャオ・シャンチャン)選手。背番号は9番。日本選手権を三連覇した強豪中の強豪、日本ハンドボールリーグの豊田合成ブルーファルコンに所属する台湾人アスリートです。試合後、趙選手にお話を聞いてきました。

© 撮影:小林賢伍
日本に来る前も、来た後も挑戦の連続
— 試合お疲れさまでした。早速ですが、日本に来たきっかけを教えてください。
趙「国立台湾体育運動大学のトレーナーが、日本ハンドボール協会に台湾人選手を推薦してくれたのが最初のきっかけです。その後、2014年に韓国で開催されたアジア大会後にご縁があり、日本のチームで活動できることになりました。沖縄で1年プレーし、その後は現在の豊田合成ブルーファルコンに移籍しました」
ー 日本語は最初から話せましたか。
趙「最初はまったく話せず、ネット翻訳などでコミュニケーションを取りました。あとは、自分でアニメを見て少しずつ勉強した感じです。豊田合成へ移動後は、語学学校に3カ月通いましたが、監督に『チャオ、もう日本語が話せる』と言われ、そこからは独学での学習になりました(笑)」
ー ハンドボールは何歳から始めましたか。
趙「10歳くらいから始めましたね」
ー 日本では、学校の授業やクラブ活動でハンドボールをする機会は少ないですが、台湾ではどうでしょうか。
趙「台湾ではさらに少ないです。台湾国内の大学全体で計8チーム。卒業後は実業団などで続けられる選択肢がないので、ほとんどの人はそこで辞めます。台湾にはビーチハンドボールとハンドボールを1年毎に交互に行う国体がありますが、その大会も出場選手は基本的に大学生で構成されています。実力があれば社会人でもプレーできますが、多くはありません」
ー 週に何回練習していますか。
趙「ウエイトトレーニングも含めて、週6回くらい練習しています。土日休みですが、基本的には練習ですね」
ー 試合を拝見すると、とても怪我をしやすそうな印象を受けました。
趙「そうですね。怪我をしないように体幹を鍛えることが大切ですが、筋肉を付け過ぎて体重が重くなるとスピードが減退するので、バランスが大切ですね」