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中国政府は、日本人と韓国人へのビザ(査証)の発給手続きを暫定停止したことへの追加措置として、11日には第三国へ向かう乗り継ぎ時に、中国に一時入国できるビザの発給も停止すると発表した。新型コロナウイルス感染が急拡大する中国からの入国者に対し、日韓が強化した水際対策への報復措置だ。
韓国外務省報道官は会見で、水際対策強化は「科学的根拠に基づいた客観的な」措置と述べ、「われわれは透明性をもって関連情報を国際社会と交換しており、中国側とも意思疎通を続けている」と語った。
逆に、「ゼロコロナ」政策で疲弊した観光業の立て直しを図る中国にとって、日本と韓国からの旅行者へのビザ発給停止は、大きな痛手となると米ブルームバーグ・ニュースは指摘する。
中国国家統計局によると、パンデミック前は日本人と韓国人が中国にとって最大の観光収入源で、18年には韓国人420万人と日本人270万人が同国を訪れ、海外からの旅行者1位と2位だった。
さらに、「今回の中国側の措置は、多くの西側企業にとって改めてチャイナリスクを感じさせる結果となった。多くの企業は、既に中国への進出を慎重化させつつあるが、その傾向は今後、強くなるとみられる」と日本総合研究所の石川智久・上席主任研究員は指摘した。
そんな中、ウクライナ侵攻を続けるロシアと、影響力を強める中国に対抗するため、NATO(北大西洋条約機構)と欧州連合(EU)は10日、連携を強化する共同宣言に署名した。
共同宣言ではロシアのウクライナ侵攻を強く非難し、ウクライナへの継続的な支援を表明する一方、中国に関しては、「独自の主張と政策を繰り広げており、対処が必要だ」と強調。また、法に基づく国際秩序を揺るがす中露に対抗し、インフラ保護や新技術、宇宙などの分野へ協力を拡大することをうたった。
中国の報道官談話は、「中国の実力の増強に伴い、国家主権と尊厳、核心的利益を守る能力も強くなった。『強硬』とは言えない」と主張。中国は覇権を求めないと訴え、「冷戦思考」や陣営間対立を批判した。