2023-01-15 流台湾

告別式まで数カ月かかることも。「台湾のお葬式に花を贈りたい」注意するべきことは?

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注目ポイント

日本とは異なる点が多々ある台湾のお葬式。日本と台湾の葬式の違いや、葬儀・告別式に参列する際の注意点、日本から台湾の葬儀や告別式にお供えのお花を贈りたい場合に頭に入れておくべきことを、花屋目線で解説。

最近は、日本から台湾へのお供えの注文をいただくことが多い。ただ、日本と台湾では葬儀の流れや花の文化も異なる。台湾で花屋を経営する日本人としては、どちらの文化も熟知しておかなければならない。日本人のお客様から特別なリクエストがあったとしても、台湾では失礼にあたる場合があるからだ。今回は、そんな台湾と日本の葬儀やお悔やみの花の文化の違いについてご紹介していく。

台湾の葬儀はとにかく長い

台湾も日本と同様、近年は簡単な葬儀で済ます場合も増えてきているが、今回は一般的に行われる伝統的な葬儀・告別式についてご紹介する。伝統的な場合は、基本的に数週間から数カ月間行うことになる。非常に長いが、告別式自体は1日で終わるのは日本と同様である。

なぜこのように長期間行われるかというと、台湾では「農民暦」という書物を用いて日の吉凶を判断するからだ。その書物には何月何日に何をするのが最適かがすべて記されていて、告別式の日程もそれをもとに決定する。そのため日程が合わなければ、何カ月も先になる場合があるのだ。

早朝に行われる告別式

告別式は、日本では信じられないくらい早い時間に始まることもある。朝8時、9時などはまだよい方で、早ければ朝5時、6時に始まる場合もある。花屋としては、注文があった花の制作は前日夜に済ませるものの、納品は告別式開始前にしないといけない。あまりに早朝だと仕入れやほかの業務に影響するため、告別式の時間が決まり次第、ご連絡をいただけるようにお願いしている。

告別式には親族以外も参列でき、日本と同様に香典の習慣もある。ただ、80歳以上の方が亡くなった場合は要注意である。白い封筒に入れて香典を渡すのはマナー違反となり、大往生したという意味で、お祝いの時に使用する赤い封筒に入れて渡すのが礼儀となっている。

様々な様式の花祭壇

日本と同様に、台湾でも花祭壇が人気である。故人の遺影の前に大きな花祭壇を作るのだが、様式は様々である。大きく分けると、中華風、和風、洋風の3つ。中華風は、スタンド花を後ろに縦長、手前は直線上の横長の花祭壇となる。和風は、白菊と小菊を使用し、波やハート型、蓮の花の形などにする。有名人が亡くなった際のニュース映像などで、皆さんも見たことがあるのではないだろうか。

洋風は百合や紫陽花などの洋花を使用し、十字架を花で彩る場合がある。台湾はキリスト教徒も非常に多いため、教会で葬儀を行う際などはこういった洋風の花が用いられることが多い。

葬儀に花を贈りたい場合

日本から台湾へお供えの花を贈りたくても、葬儀の日程がわからない場合もあるだろう。その場合は、私たち花屋が葬儀屋やお寺に連絡して日程を確認し、告別式に花を送るべきかご自宅にお届けするべきか、ご遺族の意向も踏まえて決定する。自宅に花を持ち込むことは不吉だと思ったり、故人に繋がるものを自宅に置くことを嫌がるご遺族も多いので、ご意向の確認は必須である。

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