2023-01-04 政治・国際

2023年は世界経済にとって厳しい年に IMFトップ「欧米中が同時に減速」と予想

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注目ポイント

国際通貨基金(IMF)のトップであるゲオルギエバ専務理事は1日、世界経済にとって2023年は、グローバルな成長の主要原動力である米国、欧州、中国の景気が減速する厳しい年になるだろうと警告した。

だが、この事実自体がリスクになると同氏は指摘する。つまり、強い労働市場が、米国のこの40年間で最高となった昨年のインフレ率を、FRBがインフレ率の目標水準に戻すための妨げになりかねないというのだ。米国のインフレ率は昨年6月に9.1%のピークから緩やかに下落したが、FRBが目標とする2%の2倍以上のままだ。

ゲオルギエバ氏は「労働市場が堅調であれば、FRBは物価上昇を抑制するため、金融引き締めを継続する必要があるので、これは複雑な状況だ」と述べた。

昨年、1980年代初頭以来となる最も積極的な金融引き締めで、FRBは3月のほぼゼロ金利から現在の4.25~4.50%の範囲に政策金利を引き上げ、23年には、07年以来となる5%台に推移する可能性を先月、FRB当局者が示唆した。

実際、米国の労働市場は当面、FRB当局者の関心の中心となりそうだ。というのも、物価上昇圧力を弱めるために過熱する労働需要を抑制したい考えだからだ。

新年の最初の週には労働市場に関する多くの重要なデータが公開され、その中には昨年12月30日に発表された米国非農業部門雇用者数の月次報告も含まれる。同報告によると、米国経済は昨年12月、20万人の新たな雇用を創出し、失業率は1960年代以降最低となる3.7%にとどまった。これは米国の労働市場の堅調さを裏付けるものだ。

FRBが労働市場を冷やさず、景気の過熱を抑制するため、いかなる金融政策を打ち出すのか、世界が注目する。

 

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