注目ポイント
台湾パソコン業界の草分けであり、世界シェア第6位の実績を誇るAcer(エイサー)社では、ITを駆使する「人」の環境にフォーカスした、新たな取り組みをスタートさせている。
日本エイサー株式会社ニュービジネス担当部長の髙橋氏によると、エイサーはビジネスの根幹となる従来の事業分野に加え、新たなチームを立ち上げて、「人」の安全や快適性に焦点を当てた独自かつ自由な発想で事業展開を推し進め、同社が持つプラットフォームとつなぎ合わせながら豊かな生活環境の創造を目指しているという。
その一環でプレマーケティング展開を行っているのが、どこにでも手軽に取り付けられて、オゾンの力で水道水に除菌・消臭効果を持たせる「オゾン水生成器」だ。
空気中の酸素を電気的に分解してオゾンを生成するメカニズムで、機器につなげた蛇口を開けると作動するように設計されている。人体に影響を及ぼさないレベルのオゾン濃度でも、菌やウイルスに対する強い殺菌効果が得られることから、近年ではオゾンを活用した空気清浄器なども見受けられるようになってきたが、水にオゾンの殺菌効果を付加させ、しかも取り付け場所を選ばないコンパクトなサイズでの展開は、実に独創的なアイデアだ。
100人を超える園児が通う横浜市内の認可保育園では、感染対策も含めた安全管理は必須の課題であり、コロナという新たなリスクへの対応も含め、いち早く導入を決めた。子どもたちと直接的に触れ合う環境にある施設スタッフには、常に高いレベルの安全管理が求められ、細心の注意が必要な給食作りや配膳なども含め、一瞬たりとも気を抜くことはできない。導入以降は「どんな場面でも短時間で手洗いができて安心」「手荒れの心配もないので嬉しい」と評価も上々で、親御さんからの信頼にもつながっているそうだ。
髙橋氏によると、オゾン水生成器は様々な用途での活用やマーケットでの展開を構想しているが、まずは児童施設や介護施設といった、人と人とが直接的に触れ合う機会の多い施設から導入を進め、それらからのフィードバックを集約しながら今後の戦略展開に反映させていくという。将来的な目標は、単に施設内の安心にとどまらず、この設備を可視化すること自体が安心のスタンダードとなるような取り組みにまでつなげることだ。
日々急速な進化を遂げるIoT分野においては、そのテクノロジーやデバイスにとかく目を奪われがちだが、その中心にいる「人」の快適性や安全性から目を背けることはできない。また、テクノロジーの進化が人々の暮らしに関わる便利さや快適さにつながることは間違いないが、その全てが地球環境の保全や安全性の向上に貢献できるとは必ずしも言い切れず、時には反目する要因にもなるだろう。