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「ゼロコロナ」政策から一転、「ウィズコロナ」に方向転換した中国では、新型コロナウイルスの新規感染者が激増。上海に接する東部・浙江省当局は25日、省内の新型コロナウイルスの新規感染者が、1日推定100万人を超えたと発表。中国全土では1日で少なくとも3700万人が感染したとみられている。一方、国家衛生健康委員会(NHC)は同日、2020年初めから行っていた感染者と死者の人数の公表を止めることを決定した。
中国最大級の製造拠点である浙江省には、多数の中小企業があり、その多くは輸出業者だ。省内の工場では、バッテリーや衣料品から繊維染料やプラスチックまで、さまざまな製品を生産している。浙江省政府は声明で、「コロナ感染のピークは浙江省でより早く到達し、来年の元日頃に高レベルの期間に入ると推定され、その間、新規感染者は1日最大200万人になる」と警戒感を示した。
人口6540万人の同省は、無症状を含む感染者数を推定で集計している数少ない自治体だという。NHCが無症状感染の報告を停止したため、中国の全国的な感染者数はもはや不明となっている。
英経済調査会社キャピタル・エコノミクスのアナリストは調査報告で、中国はパンデミックの最も危険な数週間に突入していると指摘。「当局は現在、感染拡大を遅らせるための努力をほとんど行っておらず、旧正月に先立って人の移動が始まるため、今はまだコロナの波にさらされていない地域も、すぐに感染爆発が起きるだろう」と予測した。
今後、さらに状況が緊迫するのは、膨大な数の人が帰省する1月22日の旧正月(春節)が近づく時期とみられている。また、専門家は、習近平指導部が突然「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」に方針転換し、爆発的に感染拡大したことで、より正確なデータを求めている。
保健当局は、12月の最初の20日間で人口の18%、つまり約2億5000万人が感染したとし、20日だけで少なくとも3700万人が感染したと推定している。一方、死亡者数は発表されていない。ただ、基礎疾患を抱える高齢者らの死亡例も急増しているとみられ、北京市内では火葬場のパンク状態が続いているという。専門家の予測では、来年中に中国でのコロナ感染による死者は100万人規模になるとみている。
すでに医療現場はひっ迫し、医療従事者は体調が悪い状態でも勤務するよう求められている。中国のSNSでは、自ら点滴をしながら病院勤務する看護師や、患者に対応している最中に床に倒れ込む医療従事者の様子を撮った動画が拡散している。
また、医薬品が不足し、値段のつり上げや薬の盗難が相次いでいる。SNSに寄せられた動画には、薬局を訪れた客同士が薬の奪い合いになり、殴り合いのけんかになる様子が映っている。南部・広東省珠海市では、製薬会社・天大薬業が運営する大型診療所で先週末から連日、市民の長蛇の列ができていた。
国営メディアは、日本円で1本1300円ほどの解熱鎮痛薬を46倍のおよそ6万円の高値で売りさばいていた疑いで、男2人が逮捕されたと報じた。