2022-12-26 政治・国際

タリバン政権、小学校~大学まで女学生追放 学校で教育を受ける女性の権利をはく奪

© AP / 達志影像

注目ポイント

21世紀の世界で信じがたいことが、アフガニスタンで起きている。同国で再び権力を掌握したイスラム主義組織タリバンが先週、小学校に対し、女子生徒の受け入れ禁止を命じた。大学での女性への教育も無期限停止にすると通達を出したばかりで、これにより初等教育から高等教育まで、女性が学校で教育を受ける全ての権利をはく奪したことになる。

タリバンは昨年、国民の基本的自由を守るという公約を掲げ、アフガニスタンでの実権を取り戻した。だが、権力を握るや否や、公約を反故にした。一連の政策を通じ、女子大生が高等教育を受ける権利を完全に阻止し、女子生徒の小学校への通学を禁止。同国の発展を一気に何十年も後退させた。

アフガニスタンの少女が家の外で基礎レベルの教育さえ受けることを禁止する決定は先週、公立、私立を問わず女性が大学に通うことを禁止すると発表した翌日に明らかになった。

これらの規制は当然、西側諸国や世界中の人権団体の猛批判にさらされている。サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦など、男女の不平等な扱いについて頻繁に批判の対象になっている国々でさえ、タリバンに方向転換を促している。

米ABCニュースは、首都カブールで少数の女子学生らが抗議する姿が目撃されたが、タリバンはこれまでも反抗的な市民を拉致し、拷問するなど、非人道的な制裁を加えるため、抗議活動は「非常にリスクのある行動」だと報じた。

米国のブリンケン国務長官は22日、国際社会の幅広い批判が重要であり、米国はアフガニスタンの事実上の権力者であるタリバンの責任を追及するため、各国と協力していると述べた。

ブリンケン氏は、「米国だけではなく、すでにイスラム諸国を含む、世界中から非難の声が上がっている。(非難は)それほど強いものだと考えている」と記者団に語った。その上で、「もし、(タリバンが)撤回しなければ、なんらかの代償が生じる」と続けた。

だがこれまでのところ、タリバン指導部は、当初の公約を守るよう求めるいかなる圧力にも動じない構えを示し、新たに導入した政策を実施するため、暴力も伝えられている。例えば、AP通信によると、タリバンが10代のアフガニスタンの少女たちを私立の教育施設から強制退去させ、そこで勉強していた少女たちを暴行したという証言も出ている。

2021年8月に米軍が撤退した直後の混乱時、タリバンは女子大生に新たな制限を課し、初等・中等教育の場を閉鎖。国の治安状況が改善されれば、今年3月には男子から隔離するという条件つきで、女子生徒への教育を再開すると発表していた。だが、その期限になっても、小学校6年生以上の女子生徒が高校や大学に戻ることは許可されなかった。

当時、米国は経済協力に焦点を当てたタリバンとの協議を中止することで制裁をちらつかせたが、双方の協議は結局、6月下旬に再開された。

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