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18日に行われたカタール・サッカー・ワールドカップを締めくくる表彰式で、優勝したアルゼンチンのスーパースター、リオネル・メッシ選手(35)が、アラブの伝統的民族衣装アバヤを身にまとい、物議を醸した。それについてイスラエル紙ハアレツは今週、「メッシのアバヤが何か恐ろしいことでもあるのか」との論説記事を異例のアラブ視点から伝えた。
カタールについては、観客席でのアルコール禁止や、LGBTQを支援するレインボーカラーのプライド・フラッグの禁止、スタジアム建設に関わった外国人労働者の人権問題や作業中に亡くなった多くの犠牲者など、語るべき問題は多い。だが、西洋世界とイスラエルにとって、自分たちの問題点は棚に上げ、アラブの汚点を指摘するのは容易なことだと同紙は皮肉を込めた。
W杯期間中、世界各地から集まったサポーターは、それぞれの国の伝統的衣装を着用して自国の代表チームを応援したが、これには誰も気にしなかった。「ところが突然、メッシにアバヤを授けることが、なぜ欧米の目にはこれほどまでに苦痛なのだろうか?」と同紙は疑問を投げかけた。
その答えは、「いつも通りの無知と理解の欠如が問題の核心だから」という。それは見慣れていない何かを嘲笑したり軽蔑したりすることにつながるという。
「メッシはアバヤを投げ捨て、着たくないと言ったかもしれない。だが、自分だけを中心に考え、“他者”を侮辱することをいとわない白人中心の西洋文化とは対照的に、メッシは明確で、あるべき別の新たな基準を示した。誰もがメッシからスポーツマンシップの精神を学ぶべきだ」と結んだ。