2022-12-21 政治・国際

「COP15」で採択、生態系保全の新目標 画期的な枠組みで知るべき5つのポイント

© Reuters /達志影像

注目ポイント

世界各国はCOP15で地球の生物多様性を守るため、歴史的合意に達した。カナダ・モントリオールで開かれていた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は19日、生物多様性の損失を食い止めるため、2030年までの達成を目指す画期的な新国際ルール「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」を採択したのだ。そんなCOP15を理解するための5つのポイントを英BBCがまとめた。

1.「30x30」

生態系の保全区域を30年までに「陸、海の少なくとも30%」を健全な環境として守る目標を盛り込んだ。「30年までに30%」という目標だ。実はモントリオールで会議が始まる前、すでに100か国以上が、この条項に賛成していた。英国のザック・ゴールドスミス環境相は会見で、「この公約を果たさない限り、モントリオールを離れることはできない」と強い意欲を見せた。

だが、環境活動家らは、「30%の陸と海の自然環境を守ること」は単なるスタートでしかないと主張する。

「絶滅の危機に余裕はない。2030年までに少なくとも半分を保全する必要があることは科学が示している」と米活動家ネットワーク「アヴァーズ」のオスカー・ソリア氏は指摘。「この条文は現段階から前進する最初の一歩だが、自然は大きな跳躍が必要としている」と訴えた。

2.パリ協定に匹敵

カナダのスティーブン・ギルボー環境相は、「パリでの気候変動会議がそうだったように、まさに歴史を刻む瞬間だ」と記者団に語った。

2015年、世界各国は温室効果ガスの排出を削減するという共通の目標に初めて合意した。署名されたその地にちなんでパリ協定と呼ばれ、気候変動に取り組むための画期的な瞬間となった。

活動家から政治家に転身したギルボー氏のような一部の人々は、モントリオールでのこの新しい合意は、自然保護にとって同様に画期的な瞬間であったと考えている。だが、誰もが納得しているわけではない。環境法の国際的慈善団体「クライアントアース」の弁護士は、最終的合意は「注目に値する」ものと評価したが、パリの瞬間には至らなかったと述べた。

3.中国がコントロール

中国はホスト国カナダと共同で議長国を務めた。コンゴ民主共和国(DRC)は途上国への支援が十分ではないとして、最終決議に反対を表明したにもかかわらず、中国の黄潤秋議長は、独断で採決するなど、いくつかの論争を引き起こしたという。

DRCは抗議し、最終合意は違法であり、交渉規則に違反していると訴えたが、国連はその主張を認めず却下した。この異例の出来事にもかかわらず、中国は会議でその役割を認められた。

4.著名人はどこに

エジプトのシャルム・エル・シェイクで最近開催されたCOP27など、気候変動に関する大きな国連会議は通常、世界的著名人も多く参加する。世界から100人を超える指導者らが出席し、環境保護に熱心なレオナルド・ディカプリオらとも顔を合わせる。ところが、今回の生物多様性に関する会議は違った。

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