注目ポイント
9月下旬から新規感染者数が急速に減少し始め、10月10日には新規感染者集が12,813人まで減少し、水際対策が緩和された。その結果、海外からの団体旅行客はもちろんのこと、個人旅行客も徐々に回復し、コロナ前の水準に近付いてきた。また国内の観光需要の喚起策として、全国旅行支援やスポーツ観戦や映画などのチケット価格を割り引くイベント割も始まった。コロナ収束に向けて明るい兆しが見え始めたが、緩和直後から再び感染者数が増加を始め、11月10日には78,269人、12月10日には136,244人 と増え、第8波の到来と言われている(1)。 このような状況下における国民の投資や現預金などの貯蓄意識、ネットバンクの利用、退職後のマネープランについて洞察するために調査を行った。
(2)スマホの普及ケータイWatch

ネットバンキング口座開設動機は簡便性とポイント獲得
ネットバンキングをすでに開設している人と興味がある人の割合は半数を超えて54.2%となっており、今回この人たちにネットバンキング口座開設の動機を聞いてみた。「申し込みが簡単だから」が最も多くて男性46.9%、女性39.4%。2番目は「ポイントがたまるから」で、男性39.6%、女性43.1%、女性の方が男性より多くこの理由を選んでいる。

退職後のマネープラン
2019年6月、金融庁が「老後資金は2千万円必要」と発言し、話題になった。そこで今回、退職後に必要だと思われる貯蓄金額と手段について調査した。想定退職年齢63~64歳の人に、公的年金・現預金と積極的投資のどちらで退職後の生活に備えているか聞いたところ、2021年11月の調査も今年の11月の調査も大差なく、4人に3人が公的年金・現預金に依存していることがわかった。また退職後、どのくらいの貯蓄が必要かという質問に対して2021年は23%、2022年は21%が2000万円~2500万円と答えており、3年前の金融庁発言の影響の大きさがうかがえる。
また退職後の生活を送るのにどのような方法で必要なお金を入手するかについて、最も多かったのは去年も今年も退職以前の貯金であった。2021年が60.9%、2022年が62.7%となっている。2番目に多かったのは公的年金制度の利用である。2021年48.4%、2022年39.0%で今年は9.4ポイント下がっており、最多の「貯金」に大きく差をつけられている。次いで「退職以後も仕事を続け収入を得る」と答えた人が2021年31.5%、2022年36.6%で、こちらの方は5.1ポイント上がった。半年以上続く円安、長引くロシア―ウクライナ戦争、物価上昇、電力不足、コロナ第8波など、明るい将来はまだ遠く、年金受給開始年齢引き上げや増税など暗い要素も予想される中、公的年金に依存することに不安を覚え、自ら生活費を捻出したいと思う人たちが増えた結果と考えられる。

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調査目的|コロナ禍での日本人の「貯蓄意識」や退職後の生活にむけた「マネープラン」に焦点をあて、生活防衛意識の高まりについて考察する目的で企図された。
調査対象|16歳~60歳の日本在住インターネット利用者
調査方法|インターネットによる調査
調査期間|2022年11月4日~11月9日
回答数|816件
著者|橋本 行平