2023-02-14 調査データ

コロナ禍での日本人の貯蓄意識及び退職後のマネープランなど、 生活防衛意識についての調査

注目ポイント

9月下旬から新規感染者数が急速に減少し始め、10月10日には新規感染者集が12,813人まで減少し、水際対策が緩和された。その結果、海外からの団体旅行客はもちろんのこと、個人旅行客も徐々に回復し、コロナ前の水準に近付いてきた。また国内の観光需要の喚起策として、全国旅行支援やスポーツ観戦や映画などのチケット価格を割り引くイベント割も始まった。コロナ収束に向けて明るい兆しが見え始めたが、緩和直後から再び感染者数が増加を始め、11月10日には78,269人、12月10日には136,244人 と増え、第8波の到来と言われている(1)。 このような状況下における国民の投資や現預金などの貯蓄意識、ネットバンクの利用、退職後のマネープランについて洞察するために調査を行った。

この記事はEngagement labの許可を得て掲載しています,元記事のリンクはこちらです

コロナ禍における投資意欲への影響

2021年11月と2022年11月にコロナ禍が投資意欲に影響を与えたかどうか調査した。去年11月は27.1%の人が影響を受けたと答えたのに対し、今年11月の調査では半分以下の12.0%に減った。コロナ新規感染者数が減ってマスク着用や旅行など様々な規制が緩和され始めたころの調査で、「影響を受けた」人はもっと増えるかと予想したが、2020年初頭から感染者数は増減を繰り返し、やっと収束したかと思ったら次の波がまた来るということに多くの国民は慣れてしまい、様子見をしているのではないかと考えられる。実際に影響を受けたと答えた人のうち、投資額が増加した人は47.6%、投資が減少した人は52.4%で、2021年の調査と比べると「増加」した人が大幅に減っている。そして感染者数はこの調査の直後から一か月の間に約2倍に増えているのである。

現預金>投資

投資と現預金と、家庭における金融資産はどちらが中心となっているかについて調査した結果、老若男女を問わず預貯金の割合の方が高いと答えた人が50%前後で最も多く、次いでどちらもしていない人が3割前後で2番目となっている。男女を比較してみると、僅差ながら、投資は男性12%、女性6%、預貯金は男性52%、女性55%で投資に回さないで預貯金するのは女性の方が多いことが見て取れる。また年代別に2021年と2022年を比較すると、投資の割合が増えたのは30~39歳代で、50~60歳代は変わらず、それ以外は今年の方が去年より減っている。30~39歳代の預貯金の割合が減って投資の割合が増えたのは、コロナ慣れしたことに加え扶養家族にまだそれほどお金がかからないことや可処分所得が他の年代に比べて比較的多いことが挙げられるのではなかろうか。全体的に投資による資産管理はまだ日本の経済に対する信用度が低いため不安が多く、利子が低くても構わないと思っている人は預貯金に回し、金融機関を信用していない人とコロナ禍で預貯金に回せるほど経済的ゆとりがなくなった人はどちらもしていない。

ネットバンキングの利用

最近かなり普及してきたネットバンキングだが、今年の利用率は去年の57%からわずか1ポイントアップして58%になった。ただ内訳をみると、PC版ネットバンク利用率が42%から39%に減ったのに対してスマホ版は33%から36%に増えている。パソコン、特に1990年代にMSウインドウズシリーズが普及して30年、当時10代20代で使い始めた人は今では40~60歳代となっている。一方スマホの普及はまだ10年余りしかたっておらず 10代20代で使い始めた人たちはまだ20~40歳代である(2)。つまり、PC版インターネットバンキングを利用している人の割合が16~29歳代では14.0%、30~39歳代34.0%、40~49歳代45.2%、50~60歳代56.2%に対して、スマートフォン版インターネットバンキング利用者の割合が16~29歳代27.9%、30~39歳代43.5%、40~49歳代39.0%、そして50~60歳代32.2%というふうに、それぞれを使い分けている割合の違いは普及が始まった年代とほぼ一致している。しかし、これからはその利便性と普及率の高さ、インフラの整備、ソフトウエアの整備などがさらに進化すると予想されていることから、スマホ版が逆転するのは時間の問題と思われる。

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