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2022-12-19 政治・国際

「ゼロコロナ」大幅緩和で感染激増の中国 専門家らは「死者100万人規模」を予測

© Reuters /達志影像

注目ポイント

唐突とも思える習近平指導部による「ゼロコロナ」政策の大幅緩和で、中国では新型コロナウイルスの感染が急拡大。来年にかけての中国国内での死者数は、100万人規模になるとの見解を複数の研究機関が示した。「ウィズコロナ」でパンデミックと向き合ってきた世界のほとんどの国が経験してきた苦難に今、中国が直面している。

中国では先月、厳格な「ゼロコロナ」政策に対する住民の反発が頂点に達し、全国的な抗議デモへと拡大した。民衆のデモが民主化運動に発展することを恐れた習近平指導部は、感染拡大中のオミクロン株が従来の新型コロナウイルスに比べて重症化しにくいことを理由に、「公衆衛生上の判断」として今月上旬、ロックダウン解除を含む大幅な規制緩和に踏み切った。

そのため、感染者数が激増。米独立系グローバル保健研究機関であるワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)によると、中国でのコロナ感染のピークは4月1日前後の見通しで、死者は32万2000人に達し、それまでに人口の約3分の1が感染すると予測する。

中国の保健当局はコロナ政策緩和を実施して以来、死者数は発表していない。最後に発表されたのは今月3日で、2019年12月からの死者数は合計5235人となっている。

IHMEのクリストファー・マレー所長は、「中国がこれほど長期間にわたり『ゼロコロナ』政策を維持するとは誰も思わなかった」とした上で、「ゼロコロナ」政策は以前の変異株の場合は効果的だったかもしれないが、オミクロン株のように感染力が非常に強い変異株をゼロに抑えるのは不可能だと指摘した。

マレー氏は、中国・武漢で始まったアウトブレイク以降、中国政府は死者数をほとんど公表しておらず、感染致死率を把握するために香港のデータを利用したと説明。IHMEは中国政府によるワクチン接種率に関する情報と、感染率の増加に応じて中国の各省がどのように対応するかについてもデータに加え、予測したと述べた。

米CNBCによると、多くの専門家は、中国の人口約14億人のうち6割がいずれ新型コロナに感染するとみており、ピークは来年1月で、高齢者や基礎疾患を持つ人たちを中心に重症化することと予測。なかでも深刻な懸念は、効果の薄い中国製ワクチンや低い接種率だという。

香港大学が先週公開した疾病モデル解析によると、12月から来年1月の間に「ゼロコロナ」規制を解除し、同時に全ての省を解放すると、同期間中に100万人あたり684人が死亡すると推測。中国の全人口に換算すると、大規模な追加接種などの対策を講じなければ、96万4400人が死亡するとしている。

同大学の梁卓偉元医学部学長ら研究陣は報告書を通じ、「ゼロコロナ」政策緩和後の高い死亡率を避けるための戦略が緊急課題だと訴えた。

また、7月に国際学術誌「ネイチャー・メディシン」に掲載された上海の復旦大学公衆衛生学部による別の研究では、オミクロン株の猛威に対し、何らかの規制をしなければ、6か月間で155万人が死亡し、集中治療室のピーク需要は通常時の15・6倍に膨れ上がると予測し、医療システム崩壊の危機感を示した。

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