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2022-12-17 観光

大都市の市場へ産地直送――士東市場とファーマーズマーケット希望広場

注目ポイント

海外旅行に行くたびに現地のマーケットを訪れ、その土地の特産物や人々のやり取りの様子を見る。同じような気持ちで、大都市台北の市場を訪ねてみよう。「五つ星クラスの市場」と呼ばれる台北の「士東市場」は広々とした落ち着いた空間で、入居している店舗もデザイン感にあふれ、人情味を加えたデパートのような感じだ。一方、週末だけ開かれるファーマーズマーケット「希望広場」では、農家の人々が自ら店を出していて、台湾各地の旬の食材と出会え、産地と食卓のつながりを実感できる。都会の市場でたくさんの買い物をして帰れば、各地の物産が大地との距離を縮めてくれ、こうしたインタラクティブな感覚が、心を一層豊かにしてくれる。

文・陳群芳 写真・莊坤儒 翻訳・山口 雪菜

天日干ししたフクロタケ、黄金のタケノコ、枝先で熟したイチジク、大根の古漬けなどはなかなか手に入らない農産物だ。週末だけ開かれるファーマーズマーケット「希望広場」には思いがけない出会いがある。

士東市場

初めて士東市場を訪れた人は驚きの声を上げ、思わずスマホを取り出して写真を撮ることだろう。明るく広々としたショッピング空間が広がり、商店の陳列台には色とりどりの野菜や果物、新鮮な肉や魚が並んでいるが、生臭いにおいはしない。エアコンで快適な温度が保たれ、伝統的な市場での買い物を存分に楽しめる。

青果店の食禾惠は海外のマーケットの雰囲気を演出し、環境と体にやさしい農産物の産地直送にこだわっている。

何より新鮮

「イカは釣り上げた時は透明で、軽く触れると色が変わります」と鮮魚店のオーナーは親切に説明してくれる。きれいに並べられたイカは昨日の深夜に釣られ、早朝に市場に届いたものだ。

常連客は、ここで魚介類を買うと店主に小分けして真空パックにしてもらう。こうすれば冷蔵庫も汚れないし、一回分ずつ解凍すればいいので使いやすい。ここでは海産物だけでなく、精肉店も真空パックの設備を置いている。

士東市場は台北の天母地区、アメリカンスクールや日本人学校に近いエリアにあり、外国人も多い土地柄だ。購買力がある客層が多いことから、士東市場の商店は品質もランクも高い商品を揃えている。プチトマトなども風味や食感などで分け、ワイングラスに入れて展示して試食できるようにしている。

屋外の市場は商店の流動性が高いが、士東市場の商店は台北市政府と契約を交わした経営者がやっているので、事業として真剣に経営している。例えば、この市場に入居して7年になる青果店の食禾惠の店主は、海外での経験から、商品を入荷した段ボール箱のまま並べるのではなく、籐や竹のカゴに入れて陳列している。陳列台の上の看板は、緑と黄色を基調とした立体的なもので、野菜の色と相まって生命力を感じさせる。

食禾惠では卸売市場から仕入れるだけでなく、自ら小規模農家を訪ね、オーガニック、無農薬の野菜を専門としている。「司馬庫斯のキャベツ、斗六のキクラゲ、埔里のウイキョウ、これらを細かく切ってオリーブオイルと黒コショウをかけるだけで、おいしい一品になりますよ」と、店主の李秀如は並べられた野菜の産地を一つずつ挙げ、産地直送であることを強調する。

市場が流行の最先端に

市場の自治会が提供するカートを押しながら商品を見ていると、まるでスーパーマーケットにいるような気分になるが、店主と消費者の会話から、ここが人情味あふれる伝統の市場であることに気づかされる。

また、従来の市場のイメージを大きく覆すのは精肉店の清潔感だ。例えば、永進号豚肉店には冷蔵の陳列ケースがあり、新鮮な豚肉を安心して買える。店主の陳沼銘は、数年前に看板をレトロなデザインに変え、台湾の黒毛豚、コーリャン酒を使った腸詰、特製塩漬け肉などの商品名を書いている。肉類は部位別に整然と並べられ、後ろには英語と中国語の豚の部位の図がかけられている。MIT(Made in Taiwan)のLED看板もあり、店主の思い入れが感じられる。

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