注目ポイント
「人類のゆりかご」として知られる南アフリカの人類化石遺跡群にある洞窟から、ヒト属の絶滅種「ホモ・ナレディ」の骨が大量に発見されたのは2013年。脳の大きさが現生人類(ホモ・サピエンス)の3分の1程度だったホモ・ナレディが、数十万年前、火を明かりや調理に使っていた可能性が高まったと著名な古人類学者がこのほど明らかにした。
同氏のチームが発見したものは、古代の囲炉裏の証拠にはならないとの指摘にも反論した。「1つだけでなく、数十の囲炉裏が見つかっている」とし、「私たちは今、これが単なる骨から、彼らが住んでいた環境の豊かな理解へと移行する段階に入っている」と述べた。
2009年の著書「火の賜物―ヒトは料理で進化した(Catching Fire: How Cooking Made Us Human)」で知られるハーバード大学生物人類学のリチャード・ランガム教授は、バーガー氏の発見について、「すごいことだと思う」と率直な感想を述べ、「もちろん、これらの人たちが小さくて、神秘的なことは、とても魅力的だ」と続けた。
ランガム氏は、ホモ・ナレディの発見が発表された当時、骨が発見された暗い洞窟についてバーガー氏の同僚の1人と話し合ったとし、「確かに、これは彼らが火を持っていたことを意味するに違いない」と伝えたという。
だが、ランガム氏が一つ疑問を持ったのは、洞窟から煙を排出するダクトのようなものがあったかどうかだと指摘した。この点についても、まだ明らかになっていない。
火の使用に関するバーガー氏の見解をランガム氏は受け入れるとしながらも、これまでで最も強力な証拠は、やはりイスラエルのゲシャー・ベノット・ヤーコブ遺跡から発見された出土品で、ホモ・エレクトスが魚を調理するために火を使用していたと考えられている。
一方、ホモ・ナレディとホモ・サピエンスの間で起きていたかもしれない交流や対立についてバーガー氏は、「今後36か月以内に答えが得られるだろう」と語った。