注目ポイント
The News Lens Japan編集長・吉村剛史が台湾海峡情勢や国際政治、その他最近の気になる話題について語る不定期連載コラム第1回。
吉村剛史(David)
親愛なる読者諸兄、はじめまして。このたび持ち前のペテン力を駆使し、TNL JAPAN編集長のイスに転がり込んだ体重120キロを優に超える巨漢記者こと、職場名・デイビッド(David)より、ここに編集長コラム(不定期)の新連載をご報告したい。
何ゆえイキがって英語名などを名乗るのか?といぶかしむ諸兄に説明しておこう。
台湾では職場などでお互いを英語名で呼び合うのは割と普通のことなのである。
大衆のことを「張三李四」(張家の三男坊、李家の四男坊)というが、台湾では李、王、張、劉、陳といった同姓の多さゆえ、日本のように姓だけで呼び合っていると、誰の話をしているのかわからなくなる。
そこに年長者を敬い、若者がへりくだる東洋的美風が加わると、自然、フルネーム、プラス敬称などとなって職場などではまだるっこしくて仕方がない。
台湾の学校の英語の授業では、会話の練習用や、あるいは外国人英語教師が覚えやすいように、生徒にはそれぞれに英語名が割り振られるケースも多い。同姓他者との区別をはじめ、フランクな人間関係構築にも役立つという観点から、社会に出てもそのまま英語名を使うケースが少なくないのだ。
かくいう新任の巨漢編集長も、かつて某全国紙台北支局長だったときの職場仲間はSindyだったし、いまもLydiaという優秀な編集部員にめぐまれている。APやロイターなどの記者と交流する際は英語名が覚えてもらいやすいこともあって、結果、自身も、なんとなくエラそうな雰囲気のDavid(中文・大偉)を長年名乗ってきた、という次第だ。
これだと親しくなった相手からやがて「Hi Dave!」(やあデイブ)と声がかかるようになり、「誰がデブやねん!」と切り返すワザも使える(日本語がわかる人にしかウケないのが難点)。クリスマスのたびに山下達郎を「さいでんな~」「ほ~でんな~」と歌ってきた関西人としては、これくらいのヒネリは必須なのである。
さてコラム初回の本題に入ろう。
先日、中国が「核心的利益」「不可分の領土」だとする台湾で、波乱の統一地方選を視察してきた。ちょうど帰国したころに、中国でゼロコロナ政策に反発する民衆が広めた抗議デモ「白紙革命」が海外にも波及している様子も目の当たりにし、中台両岸それぞれが抱える内政問題に思いを致したものである。
このうち「白紙革命」については12月2日夜、東京・池袋駅西口前のデモを実際にのぞいてみたところ、日本で暮らす中国人留学生やその支援者らがズラリ。偶然通りかかった中国人旅行者までもが飛び入り参加する姿が見られた。