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米連邦議会で、先週可決した同性婚の権利を連邦レベルで擁護する「結婚尊重法案」をバイデン大統領(民主党)は13日署名し、同法が成立した。前政権のトランプ大統領(共和党)が進めた最高裁の保守化により、同性婚の憲法上の権利を認めた2015年の判例を覆したとしても、その権利が守られるよう現政権が法制化したものだ。
LGBT活動家らは、中絶権と同様、判例で合法とされているだけで、連邦法で保障されていない同性婚や同性愛行為が、中絶権と同じように保守派多数の現在の最高裁によって違法化したことに危機感を示し、結婚尊重法の成立を強力に求めるようになったという。
一方、バイデン氏は上院議員時代の1996年、クリントン政権下で成立した「結婚防衛法」にも賛成票を投じていた。米国では1990年代初頭から同性間の結婚について議論する必要性が求められるようになり、同法は婚姻があくまで1人の男性と1人の女性が結び付くことによって成立するとし、各州に同性間の結婚を却下する権限を与えた。
米紙ニューヨーク・タイムズは、LGBTQの権利をめぐり、バイデン氏が演出した13日の盛大な法案署名式が、時代と共に同氏自身がいかに変わったかを示すと同時に、1973年1月3日に若き上院議員として政界入りした日から、民主党の変遷と共に1人の政治家として進化してきた姿を照らし合わせていると指摘した。
今回の結婚尊重法で意外なのは、「異人種間の結婚」が21世紀の今になって初めて合法と明記されたことだ。最高裁は1967年の「ラヴィング対ヴァージニア州」判決で、初めて米国での異人種間の結婚を合法と定めたが、これまでは連邦法では法制化されていなかったのだ。
英BBCによると、昨年のギャラップ社調査では、94%のアメリカ人が異人種同士の結婚を支持しているが、1958年の調査で支持したのは、わずか4%だった。