2022-12-13 観光

日本と台湾の「今年の漢字」2022―日本は「原因」、台湾は「結果」―

© Shutterstock / 達志影像

注目ポイント

日本漢字能力協会が毎年公募している今年の漢字が12月12日京都清水寺で発表された。今年は、ウクライナvsロシア戦争、サッカーW杯の熱戦、北朝鮮のミサイル、コロナとの戦い、旧統一教会との戦いなどを背景に「戦」が選ばれた。これにさかのぼること数日、12月7日に台湾でも今年の漢字が発表された。「上昇する、膨らむ、値上がりする」などの意味を持つ「漲」が選ばれた。総数75385票のうち,「漲」は7871票獲得,第2位の「撐」に1103票の差をつけた。 昨年に続いて(2021年12月30日)今回も台湾の「今年の漢字2022」を紹介します。

台湾の今年の漢字第3位「騙」

去年暮れから今年夏にかけて、善良な市民を「騙して」カンボジアに売り飛ばした人身売買事件、また8月には前新竹市長による論文盗作事件が発覚し、11月下旬に行われた統一地方選挙の出馬構図に大きな影響を与えた。欺瞞に満ちた1年だったとの評価から「騙」に多くの票が集まった。6595票で3位を獲得したこの漢字は「ピエン」と読み、「騙人(うそをつく)」、「騙婚(結婚詐欺)」、「騙子(二枚舌)」という使い方がある。

台湾の今年の漢字第2位「撐」

この漢字は日本人には馴染みが薄いかもしれないが、「支える、支援する、もちこたえる、(傘を)さす」という意味である。ここ3年世界中に猛威を振るった新型コロナだが、台湾は中国の妨害にもかかわらずよく持ちこたえた。2か月前にはやっと出入国が原則として自由になり、マスク着用義務も緩和された。緊張の度合いを増す対中関係、悪化の一途をたどる世界経済など逆風の中で国民が力を合わせて台湾丸を支えてきた(逆風撐船)。きっと明るい未来は来る、との願いを込めてこの漢字は6768票で2位に選ばれた。この漢字は「ツェン」と読み、「支撐(サポート)」、「好撑(腹いっぱい)」、「撑腰(後ろ盾になる)」という使い方がある。

台湾の今年の漢字第1位「漲」

2022年を表す漢字第1位に選ばれたのは「漲(ツァン)」である。今年はロシアとウクライナの戦争、世界的なエネルギー不足、米国の金融引き締めとインフレ圧力などなど、多くの間接的・直接的な要因で卵、スナック菓子、小麦粉などの食糧品や原料、家賃、不動産、電気代、ガソリン代などすべてが値上がりした。給料だけが「不漲」。この状況は日本とさほど変わらない。観光地では観光客がコロナ禍で激減したため、飲食代や土産代、宿泊代など、少しでも収入を得るために世間とは逆に身を切る思いで値段を下げて商売を続けてきた。水際対策が緩和され、海外観光客の増加が見込めるようになったことから、かつての賑わいと安定収入を取り戻せるよう値段を従来の水準に戻そうとしている。これはいい「漲」と言える。


台灣2022代表字大選(今年の漢字) https://video.udn.com/embed/news/1254274

 

オススメ記事:

台湾人が選ぶ「今年の漢字」
 

あわせて読みたい