2022-12-23 調査データ

コロナ禍における現状に対する実感 2022年11月

注目ポイント

本調査が開始された11月4日では、全国のコロナウイルス新規陽性者数は約3万4千人/日となっており、10月初旬の先月調査時点では、新規陽性者数は、第7波のピークをむかえた8月から急速に収束に向かっていたが、10月中旬より感染者数が再び増加傾向に転じている。また足元で進む円安や、ウクライナ危機等に起因する生活費の上昇が家計を圧迫している状況は変わらず、年末に向け第8波発生の懸念も徐々に高まってきている中、国民の現在の認識、景況感、消費意欲には、前回調査時点と比べどのような変化が見られるだろうか。 本レポートでは、現状に対する実感、コロナウイルスの深刻度、消費財に対する予算の変化について年代・カテゴリー別にアンケート調査を行い、コロナワクチンの接種状況にも注視した上、日本の一般消費者が現状をどのように感じているかについて考察した結果をまとめる。

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第8波の流行が懸念される中、国民の現状に対する認識は依然として厳しい

過去1年間の日本の状況に関する実感では、依然として半数以上の人が「悪化している」と認識しており、また、今後1年間の展望に関しても、「悪化する」と悲観的に考えている人は、先月と同様、半数近くを占めている。急速な円安やウクライナ危機による資源価格高騰を受け、光熱費や日ごろの食材の値上げなど、生活費の上昇が家計を圧迫している状況に加え、冬に向けて第8波の発生リスクが高まっていることなどから、現状に関する実感では、依然として悲観的な空気が大勢を占めていることが伺える。

日本国民のコロナウィルスに対する深刻度は再び悪化の兆し

新型コロナウイルスの現状について、「非常に危険だ」と認識している人(T3B)は、先月調査より1.5ポイント微増し、全体の約22%となった。一方、「それほど深刻ではない」と感じている人(B3B)も2.4ポイント減少し、約17%となった。第8波の流行が懸念されるようになり、楽観、悲観の割合がほぼ均衡していた先月から、コロナウィルスに対する認識は再び悪化に転じている模様だ。

消費者の購買意欲は、先月同様に依然として停滞気味

今後1ヵ月間の消費支出予想では、20%が消費の増加、26%が減少を見込んでおり、依然として、予算の減少を想定している人の方がやや多く、先月同様、購買意欲は停滞しているといえる。この傾向は、特に、30歳代で顕著となっており、予算の減少を想定している人の割合(27%)は、増加を想定する人(13%)の約2倍となっている。
商品カテゴリー別にみると、先月と比較して、全ての年齢層で「外食/娯楽」に対する支出の増加を想定する人の割合が増加したものの、全体としては依然、支出の減少を予定している人の割合の方が高い。「旅行」も同様、予算の減少を想定している人の割合の方が高く、旅行を手控える傾向に変化はない。また、「家庭用品」への支出では約8割の人が変化なしとの回答となった。

第7波の感染収束から束の間、再び第8波の兆しが取り沙汰される中、外国人観光客の受入れ対応に関するガイドラインの緩和や、全国旅行支援(全国旅行割)等、国内の観光需要喚起策が政府によって実行に移されている。それが功を奏してか、今回のアンケート結果から、今後1ヵ月間の消費支出予想では、全体としては支出の減少を想定している人が多いものの、全ての年齢層で「外食/娯楽」に対する支出の増加を想定する人の割合が上昇した。しかしながら、日本国民のコロナウィルスに対する深刻度は、悲観の割合が楽観よりも多勢になり、日本の現状に対する認識でも、過去1年間の実感、今後1年間の展望ともに、依然として半数以上の人が「悪化している/悪化する」と悲観的に考えている。物価高の影響やウクライナ危機が心情面に及ぼしている影響に加え、寒い季節に流行しやすく、オミクロン株対応型ワクチンの接種率がまだ低いことを考えると、やはり一番の不安材料である年末に向けた第8波の流行の懸念が、日本国民の感情に大きく影を落としていることが伺える。こうした状況の中で、各種業界における事業の意思決定者には、日本の一般消費者の心情の変化を踏まえ、事業計画の策定をしていくことが望まれる。

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