2022-12-15 政治・国際

「白紙革命」が引き金?ゼロコロナ政策緩和も世界でくすぶる中国政府への抗議

注目ポイント

先月25日に中国で始まったゼロコロナ政策と習近平政権に対する抗議活動は、参加者の多くが厳しい言論統制を象徴する白い紙を掲げていたことから「白紙革命」(白紙運動)と呼ばれ、一時は習政権発足以来最大の危機と目された。コロナ対策の大幅緩和で運動は沈静化したが、中国人留学生らによって国外にも運動は波及。日本では東京、名古屋、大阪などで関連する動きが見られている。「日本で白紙革命が誕生する現場」にいち早く駆けつけ、取材を続けているジャーナリストの安田峰俊氏が、中国社会の大きな変化を予兆させる今回の運動を解説した。

ジャーナリスト 安田峰俊


2022年11月25日から数日間、中国国内でゼロコロナ政策への抗議の声が吹き荒れ、一部からは異例の政権批判の声も飛び出した(白紙革命)。ほどなく、習近平政権がゼロコロナ政策の大幅緩和を打ち出したこともあって抗議はほぼおこなわれなくなったが、いっぽうで興味深いのが海外の動きだ。中国国内の抗議に呼応して、アメリカやカナダ、オセアニア諸国などの中国人留学生が多い街を中心に、さまざまな抗議運動がおこなわれるようになったのである。

日本でも、11月27日夜に東京都の新宿駅西口の地下広場に100人程度の中国人留学生らが集まったのを皮切りに、抗議運動が広がった。この11月27日の集会は、開始のわずか4時間前に代表者が決まるという慌ただしさもあって、 日本国内のメディアが全くマークしておらず、知人経由で開催を知り現場にやってきていた私1人だけが日本で白紙革命が誕生する現場に居合わせるという貴重な経験をすることになった。

「共産党下台!(中国共産党は政権を手放せ!)」「習近平下台!(習近平は辞めちまえ!)」。中国人留学生らがこれらのスローガンを叫んでいるのを見たときは、その光景のあまりの非現実性に足が震えた。これをきっかけに、私はその後しばらく、日本国内で実施される白紙革命の現場の多くに足を運ぶことになった。

彼らの活動の形態は、習近平政権を積極的に批判するデモや抗議集会を組織する動きと、政治色を薄めてゼロコロナ政策による人災(ウルムチの火災や貴州省の隔離者バス事故など)の被害者を追悼するキャンドル集会をおこなう動きのふたつにわかれる。後者は、運動のトレードマークである白い紙を持って数人~十数人が無言で立つ形式が多い。

12月10日までに日本でおこなわれた白紙革命関連の出来事のうち、私が把握しているのは以下のとおりだ(うち、私が現場を取材したものには★をつけた)。

11月27日★:抗議集会。東京、新宿駅西口地下広場。100人程度。

11月30日★:抗議集会。東京、新宿駅南口。1000人程度。

12月上旬:スタンディング(?)。名古屋。数人程度(?)。何度か開催か。

12月2日★:キャンドル集会。東京、池袋駅西口。150人程度。

12月2日:スタンディング(?)。大阪、近鉄日本橋駅付近。15人程度。

12月3日★:抗議集会および無許可デモ。大阪、靭公園および中国駐大阪総領事館。100人程度。

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