注目ポイント
大盛況のサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会は先週末、強豪を次々と撃破し大番狂わせを演じたモロッコや、PK戦をことごとく制した百戦錬磨のクロアチア、上位常連のアルゼンチンとフランスがベスト4入りした。世界最大のスポーツイベントとされるサッカーW杯の今回大会は、TikTokがサッカーファンを結ぶ中心的なSNSツールとなっていると英BBCが伝えた。
「#FifaWorldCup」のハッシュタグが付いたTikTok動画は、11月20日に大会が始まって以来、120億回以上再生され、イングランドとフランスの準々決勝は、両代表とも100万人以上のフォロワーを獲得している。
だが、オンラインで成長しているのは代表チームのアカウントだけではない。
24歳の英国人TikTokerベン・ブラックさんは、カタールW杯の全試合を現地で観戦し、その経験をTikTokで発信。これまでの大会関連で投稿した動画の総視聴回数は1.7億回を超え、その絶大な効果を実感しているという。
「考えてみれば、ちょっとばかげた数字です。サッカーファンにとってW杯とはどういうものかを示しているし、すごい力だと思う」とブラックさんはBBCにそう語った。
英エセックスのアリス・アブラハムさん(22)は、自宅から投稿した試合の分析動画について閲覧者のリアクションを楽しんでいる。「とてもポジティブな雰囲気。前回のロシア大会(2018年)よりも今回のW杯を楽しんでいる」と話した。
また別のTikTokerジュニア・ペレイラさん(19)は、ダンス動画で240万人のフォロワーを持つが、W杯期間中は各国代表のスター選手の形態模写をするなど、ユニークな動画を発信している。
ジュニアさんは視聴回数など、数字にこだわり過ぎないよう注意しているという。「誰がもっと人気があるとか、ちょっとした競争がある。誰がもっと視聴回数を稼いだり、フォロワーを引き寄せられるとか。でも結局のところ、僕たちは同じことをやろうとしているだけであり、お互いを尊重している」とBBCに説明した。
だが、サッカーの試合と同じように、TikTokでも全てが計画どおりに進むわけではない。
グループE最終戦の途中でわずかな時間、日本とコスタリカが、あわやスペインとドイツをまとめてグループステージ敗退に追い込んだ時点があった。「私は急いでTikTok撮影の準備をして、とてもわくわくしていた。結果的にはスペインが(日本に次いでグループ2位で)決勝トーナメントに進んだけど」とアリスさんは語った。
ジュニアさんは「全てのTikTokerが、(日本とコスタリカが1~2位となった)あの60秒の間、同じことを考えていたと思う」とし、アリスさんの行動に理解を示した。
カタール大会ではベンさんにも驚きの瞬間が数多くあったという。
ブラジル代表のユニホームを着て、ブラジル対カメルーン戦の試合観戦に行った。「席に着くと、周りにはカメルーンのファンしかいなくて、ブラジルのユニを着ているのは自分だけだった。だけど、(カメルーンの)サポーターは、とにかくハグをしてくれた」とし、「結局、90分間の大パーティーになって、みんなで楽しんだ」と振り返った。