2022-12-10 ライフ

日本でも活躍なるか?! 新しい音楽で勝負に出る台湾のØZI 連載「果てしない中華圏ポップスの魅力」第4回

注目ポイント

今、台湾で絶大な人気を誇るシンガーソングライター&プロデューサーのØZI。日本のプロダクションともマネジメント契約を結ぶなどワールドワイドに活躍の場を広げる彼を、ワールドミュージック評論家の関谷元子さんがインタビュー。リリースを控えている3rdアルバムの話や、日本のミュージシャンとのコラボレーションも積極的に行っている彼のJ-POP観について伺っています。

11月の暖かい昼下がり、渋谷駅の地下鉄出口を出て少し歩いたら、男性が二人ぶらぶらしていて、よく見れば、これからインタビューをするアーティスト、台湾で大活躍中のシンガー・ソングライター&プロデューサーのØZI(オージー)と、彼らの会社Forbidden ParadiseのCEOで今や売れっ子プロデューサーのミッキー・リン(米奇林)だった。声をかけ、カジュアルでフレンドリーな感じの二人とインタビュー場所まで歩いて行った。

「日本は何回目?」

「15回は来てるよ。もともとは母親(台湾の有名な歌手)が好きだから、小さい頃から来ていたんだよ、東京だけじゃなく、北海道も九州も大阪も行った」

「ØZIとミッキーは知り合って何年?」

「もう何年だろう、2015年頃だから7年か~俺ら25だもんね~」

途中で「あ、昨日、このサンドイッチ屋さんに行ったけどおいしかったよ」なんて話しながら、Googleマップでチェックしながら目的地 Café Habana Tokyoにたどり着いた。

ØZIは台湾で2018年にファースト・アルバムをリリースした途端ブレイク、翌年に台湾のグラミー賞=金曲奨で最優秀新人賞を獲り、その後日本を含め数々のアーティストとコラボレーションし(今年は倖田來未と!)、ますますの注目をあび、2021年には力作『PEDESTAL』をリリース、このアルバム名のように台湾ミュージック・シーンにおいて土台をしっかりと作っていった。

まずは彼のアーティスト名について聞こう。イングランドのロマン派の詩人、パーシー・ビッシュ・シェリーが書いた1818年の詩『オジマンディアス(Ozymandias、ラムセス二世のこと)』から取ったということは知っていたが、この詩のテーマは「永遠なものなんて何もない」というものだ。どうしてこういう名前を付けたのだろう。

「“すべてが永遠じゃない”ってキャリアを重ねるについてますます感じている。アーティストも、トップに立ったかと思うと落ちて行く、これは多くが経験せざるを得ないことだけれど、僕はそこにある種の美学を見るんだ。それと、この詩は高校の時に習ったんだけど、確かに暗いよね、でも、綺麗だよ。それとラムセス二世の彫刻は今も砂漠の中にあるじゃない? 僕の音楽もそうあってほしい、人が彫刻を通り過ぎる時思い出す、そんな風になりたい」

ØZIはもうすぐ3枚目のアルバムをリリースする。そのアルバムは、今までのR&B/ヒップホップ色が強いものとは全く違うものになるそうだ。

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