注目ポイント
水上に生息し、アヒルのように水に飛び込み、潜ってサカナなど獲物を採る――これまで知られていなかった、そんな生態を持つ恐竜が存在したことが、新たな研究で明らかになった。
今後の研究では、ナトヴェナトル・ポリュドーロスが住んでいた環境についても調べる必要があるとしている。標本はモンゴル南部のゴビ砂漠で発見されたが、この砂漠には過去、湖や水辺が存在していたことはすでに証明されている。ホーン氏は、「過去存在していた湖で化石を発見するのは困難だが、遅かれ早かれ、見つかる可能性はある」と述べた。
英ポーツマス大学の古生物学者ニザール・イブラヒム上級講師はCNNに、今回の論文には完全に納得していないとし、より厳密な定量分析があれば、結果はより説得力のあるものになっただろうと主張した。イブラヒム氏はこれまで、後期白亜紀セノマニアン期のアフリカ大陸に生息していたスピノサウルスが半水生だった可能性が高いことを突き止める研究などでも知られる。
「たとえば動物の骨密度や骨組織学について、より広いデータとして確かな説明が得られればよかったと思う」と述べた。ただ、「泳ぐナトヴェナトル・ポリュドーロスの解剖学的証拠は、泳ぐスピノサウルスよりも単純ではない」と付け加えた。
また、ホーン氏と同様、ナトヴェナトル・ポリュドーロスが正確にどの水域で泳いでいたのかについても興味深いと語った。
イブラヒム氏は、今回の研究が恐竜の行動に関する、より広範な視野への扉を開くことに役立つことを望んでいるとした。以前は恐竜が陸生だと考えられていたが、少なくとも一部の種は陸上で過ごした時間と同じくらい水中で過ごしたことを示す証拠が増えてきたと指摘。
「恐竜は非常に長い間存在していただけでなく、非常に多様で新しい環境に馴染むのが得意だったことが分かってきた」と、「もっとたくさんのサプライズがあることを確信している」とイブラヒム氏は語った。