注目ポイント
ロシアのプーチン大統領の〝忠犬〟と揶揄(やゆ)されるベラルーシのルカシェンコ大統領。これまでウクライナへの派兵を避けてきたが、ここにきて露・ベ両国の兵力が「1つの軍」として機能するよう参戦準備を始めたことを明らかにした。側近だった外相が先日、突然死したことも重なり、ルカシェンコ氏はプーチン氏の派兵要請を拒否し続けると、暗殺されるのではないかと疑心暗鬼に陥っていると英米メディアが報じている。
ルカシェンコ氏はフレニン国防相とともに3日、ベラルーシの首都ミンスクを訪問したロシアのショイグ国防相と会談。ルカシェンコ氏はその中で、「ベラルーシは公開された実際の条約に基づいて、すべきことをする」と強調した。両国は連合国家を形成し、軍事同盟も結んでいる。
会談後、ルカシェンコ氏はロシア紙プラウダに、「ベラルーシの国防相がすでにベラルーシの状況や、ベラルーシに駐留するロシアとベラルーシの部隊の訓練や共同軍事行動について話したと思う」とした上で、ロシア軍との共同作戦を慎重に進めていると述べた。両国は10月に合同部隊を編成し、ロシア兵約9000人がベラルーシ領内に展開。この動きに西側は、ベラルーシ参戦の可能性が高まったと警戒している。
ベラルーシの国営通信社ベルタによると、ルカシェンコ氏はショイグ国防相との会談で、「われわれの領土の一体性を守るための今後の行動について、統一の立場を練ろう」と表明した。ロシアのウクライナ軍事侵攻については「欧米が望む限り、特別作戦が続く」との見方を示した。
ロシアは侵攻前の今年1月下旬、ウクライナとの北と西の国境付近に兵力約19万人を集結させ、ウクライナの北に位置するベラルーシ領内でもロシアは軍を展開し、攻撃に備えていた。
侵攻が始まった2月24日以来、ロシア・ウクライナ双方の軍で多くの死傷者が出て、その数は増え続けている。ウクライナ国防省の発表によると、ロシア軍の死者は9万人以上。ロシア側は9月21日時点で死者数を5937人として以来、数字を発表していない。米軍トップは先月、両軍がこれまでに、それぞれ約10万人の死傷者を出しているとの見解を示した。
一方、ベラルーシでは同国のマケイ外相(64)が先月26日に急死した。政府は死因などについて公表せず、ベラルーシメディアは、「在宅中に心筋梗塞を発症し、医者に連絡しなかったことから死亡した」と伝えた。
マケイ氏は10年にわたり外相を務め、死の2日後にはロシアのラブロフ外相との会談を控え、その後には全欧安保協力機構(OSCE)の外相会合への出席も予定していた。長年、欧米との「パイプ役」を担ってきたマケイ氏は、「西側との〝密約〟がバレて、ロシアに殺された」などとの陰謀論が浮上している。
ロシアの反プーチン派元オリガルヒ、レオニード・ネブズリン氏(現在はイスラエルに亡命中)は、「ロシアの特殊任務部隊に近い筋」からの情報として、マケイ氏はロシア連邦保安局(FSB)により毒殺されたとウクライナメディアに語った。