注目ポイント
台湾の花屋は日本と比べて年中同じ花が並んでいて、季節の変化を感じることが少ない。その背景には自己主張がはっきりしている文化、そして「今一番綺麗な状態」の花々を求める嗜好の違いがある。
すると、やはり多くの花関係者は百合は満開の状態で売っていることが分かった。こちらとしては、百合は蕾の状態でもいずれ全て咲くので、蕾のほうがお客様にとって満足いただけると思っていたので意外であった。全ての台湾人が同じような考えではないものの、満開が好きという方が多いのは、その後のご来店されたお客様の選ぶ花を見ても一目瞭然であった。胡蝶蘭にしても、バラにしても、より咲いているものを選ぶのが台湾人の花の選び方である。

© Photo Credit: Shutterstock / 達志影像
バラの花びら問題
最後に現在の台湾の花業界でも、非常に意見が分かれる問題について触れておく。それは、バラの花びらは剥くかどうかである。バラの花びらは外側の花びらに緑色が混じっていることがある。これはバラの額が変化したもので、至って自然なことである。その部分を剥くかどうかで、花屋の中でも意見が割れているのだ。
一般の日本の花屋は、多少問題がある花びら(傷や汚れや腐った部分)を剥くときはあるが、基本的には新鮮なバラの花びらは剥かない。もし剥いてしまうと、バラの開花速度が速くなり、結果として品質に直結してしまうからだ。台湾でもこの考えを発信している花屋やフローリストは多い。しかし、コメントや評価には、お客様からの反感も招いている部分もあることが分かる。当店でも、こういった理由から花びらは剥かないようにしていたが、多くのお客様から反感をいただいた為、目立つ部分は剥くようにしている。
反対意見としては、単純に見た目が汚いからだ。ピンクや赤のバラの外側に緑がマーブルに混ざっていることは、完璧ではないと考えているのである。バラの開花速度に関する知識がある方もいるが、ほとんどの台湾人のお客様はそこまでの知識が無く、この部分を傷や新鮮ではないバラだと思ってしまう。それが結果としてクレームとなり店の評判に繋がるため、一部の花屋は花びらを全部剥いてしまうのだ。
この部分に関しては、私自身もどちらが良いのか悩ましい問題だと思っている。だが、お客様に開花速度のことや、品質の説明をしっかりすることも花屋の務めでもあるとも思う。「花育」という言葉があるが、今台湾人に必要なのはこの「花育」ではないだろうか。植物に関する知識が少ないため、自然の状態が分からなくなっていることがこの問題の原因だと思う。そのためには、花屋がお客様に花の知識をしっかりと教えていくことも重要となってくる。
オススメ記事: