2022-12-03 観光

遠路はるばるやってきた旅人に温かい食事を提供馬祖南竿島の“秘密の接待地”――西尾半島物産店

© 西尾半島物產店 提供

注目ポイント

ここは馬祖の地元民のプライベートスポットである。遠くから来た人たちに温かい食事を出し、1人でくつろげる空間を提供している。天気のいい夕方5時には、2階で「西尾の夕日」のマジックアワーを見ることも忘れずに。

週に2〜3日は、朝一で市場に行って野菜や果物を買い、店に戻り、池に行って漁師が獲ったムール貝の育ち具合を確かめてから、その日の調理法を決め、大きくないキッチンで料理の準備に取りかかる。店内の清掃を終え、10時ごろには開店の準備が整う。そして10時間以上の作業を経て、再び閉店の時を迎える。これは、馬祖南竿島の「西尾半島物産店」の一日だ。

© 西尾半島物產店 提供

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夏真っ盛りの7月にオープンした西尾半島物産店は、旅人のための飲食店であると同時に、地元と海外の物産の交換窓口にもなっている小さなお店だ。南竿の西端に位置し、地図上でサイの尾のように見えることから西尾と名づけられた。

店のある民家は、かつて中華民国初期の3年間、閩江河口を襲った名高い海賊——林義和の司令塔。馬祖の芙蓉澳の海口は、古くから海運の一大中継地として、数百隻の船が交易し、海賊が略奪する要衝の地でもあった。

海賊の司令場所として、西尾半島は実際Google Mapでもなかなか見つからないほど秘密めいた場所にあり、店主の佩佩さんはお客さんによく「西尾物産店は "あえて見つけづらいところ"にしているのでしょう?」と言われると話した。

© 西尾半島物產店 提供

また、馬祖の人々が食事をするメインの通りから外れた、アクセスの悪い場所にあるため、観光客だけでなく、都会の喧騒から逃れるためにやってくる地元の人々にも人気がある。また、2階は絶景の芙蓉澳が一望できる見晴らしのいいポイントであるのも西尾物産店の特徴の一つだ。

スタッフ構成は、台北にいる企画担当メンバーや馬祖の店長ら以外にも、各地からゲストシェフを招き、地元の食材やジャムや醤油、塩など世界中から選りすぐった調味料を組み合わせてメニューを構成している。ゲストシェフは少なくとも2週間以上滞在し、現在のメインシェフはフランスから来た料理人である。

© 西尾半島物產店 提供

西尾半島のキッチンのメインディッシュといえば、西尾カレーだ。佩佩さんが話すには、カレーは大航海時代、様々な港町のスパイスを組み合わせて生まれた料理なのでメニューにカレーを加えると海賊のストーリーを彷彿させることができ、ぴったりだと言う。

また、カレーを基本メニューとしたのは、ゲストシェフが馬祖に到着してすぐでも、慣れない小さなキッチンに素早く適応できるようにするためだ。

© 西尾半島物產店 提供

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馬祖の主な名産物のひとつであるムール貝は、西尾半島のゲストシェフによって、毎日の収穫状況に合わせて調理される。カレーと同様にムール貝も西尾半島の定番料理だが、時期をずらして訪れると、同じムール貝でも様々な味や風味を楽しむことができる。

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