注目ポイント
菅元総理は2020年10月の所信表明演説で、2050年までに「ネットゼロ(カーボンニュートラル)」を目指すことを宣言した。ネットゼロとは二酸化炭素などの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにするというもので、政府や企業がその実現のために様々な施策を打ち出している。今回は日本のネットユーザーがネットゼロ に関してどれくらい認識し、理解しているかを調査した。
ネットゼロ実現のための各施策についてその重要性を調査した結果、「将来のエネルギー源の開発」43.5%、「炭素吸収源の創出・維持」43.2%、「再生可能エネルギー設備の建設」40.7%の3項目が4割を超えており、従来の化石燃料を利用したエネルギーから再生可能エネルギーへのシフトが最重要であるとの認識が示された。ただし、これを絶対的評価としてみると、どの項目も5割を超えておらず、結局は技術不足だったり(炭素吸収量確認技術、水素エネルギーなど)、何十年という歳月が必要だったり(植林など)、世論が賛否両論で二つに割れていたり(改良計画提出義務化など)して実現性に疑問を持っている人が多いと考えられる。

日本および個人への影響
2050ネットゼロ・エミッションに関する説明を聞いたのち、どのような影響が日本及び個人にあると考えるかという調査をセグメント別にした。アンプリファイアーのみが説明文を読んだ後で日本へ良い影響があると考える人が30.8%から31.1%に微増したが、日本への影響、個人への影響、両方ともすべてのセグメントで説明文を読む前と読んだ後で読んだ後の方がプラス影響が減り、マイナス影響が増えると思う人が多くなるという結果が出た。関係各省や企業などがカーボンニュートラルの重要性、緊急性、深刻性を十分に宣伝し、国民に対して啓蒙活動を推進していくことが喫緊の課題であると思われる。

ネットゼロ政策に対する認識・理解度の調査
調査目的|日本のネットユーザーがカーボンニュートラルに対する政府の取り組みを、いかに認識し、理解しているのかを洞察するために企図された
調査対象|16歳~60歳の日本在住インターネット利用者
調査方法|インターネットによる調査
調査期間|2022年10月6日~11日
回答数|869件
著者|橋本 行平
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